約 3,642,330 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/495.html
前 ※若干オリあり? ※虐待度はやや低め ※若干罵詈雑言気味 ※読むに堪えない文章は仕様です というわけで、あっという間に出産日。 ボールの中ではさすがに出産なんて出来ないので、2週間ぶりにゆっちゅりーを外に出す。 圧迫感から開放されたものの、2週間も食事もろくにとれず、コミュニケーションも満足に出来ずの状態だったわけだから相当ぐったりしている。 「も、むきゅ・・・うぅ」 「ぱちゅりー、だいじょうぶ?ゆっくりしていってね」 そんな彼女に寄り添うゆっくりまりさ。実に健気で、美しい光景だ。 見てるとなんだか腹が立つくらい美しい。 「ゆっくりしてる場合じゃないだろ?早く子供を産んであげないと!」 腹が立ったので水を差してやった。 「むきゅ・・・そうだね、ゆっくりするならあかちゃんをうんでからだよね」 「ゆ!ぱちゅりー、ゆっくりいそいでうんでね!」 「矛盾しとるぞ、まりさくん」 などと突っ込みを入れていると、ゆっちゅりーが突然うめき始めた。 「む、むぎゅぅぅぅぅぅ・・・!?」 どうやら本格的に陣痛が来たらしい。 今までボールの中にいて全く見えなかったが、彼女の口の下には産道らしき穴がある。 まるで人間の女性のそれのようでちょっぴりいやらしい。思わず赤面しちゃったさ。 「ぱちゅりー!どうしたの?!」 「う゛うばれりゅ・・・!?」 「もうすぐらしい。まりさ、君は少し離れていなさい」 それでもなかなか離れようとしないまりさを抱き上げ、ゆっちゅりーから少し距離を置く。 「ゆ゛うううぅぅううう・・・」 出産は想像以上に難航しているようだ。 ボールで圧迫されていたせいで胎内の子供がすでに死んでいるのかもしれない。 生きていたとしてもまともに歩けないような重度の障害をわずらっている可能性もある。 「ぱちゅりー・・・ゆっくりがんばってね!」 俺の隣では自分が出産しているわけでもないのに苦悶の表情を浮かべるまりさがゆっちゅりーを励ましている。 実に微笑ましい光景だ。さっきからこんなことばっかり言っているような気もするが、むかつくくらい微笑ましい光景だ。 それと同時に、この微笑ましさの分だけ子供の姿を見たときに絶望するんだと思うと鳥肌が立ってくる。 「なあ、まりさ。俺の話をゆっくり聞いてくれよ?」 「なに、おじさん?」 「もし、ゆっちゅりーの子供が未熟児や奇形児だったらその子を口の中に隠してほしいんだ」 「ゆ!?それってまりさにk」 「静かにする!」 「ゆぅ・・・」 「安全なボールの中にいたから大丈夫だとは思うんだけど、万が一の可能性がある。あんな狭いところで我慢したのに、ようやく生まれた子供が元気じゃなかったら可哀そうだろ?」 「ゆ!おじさんのいうとおりだね」 流石ゆっくり。こんなこじつけも同然の話に素直に納得してくれる。 「それにまりさも知っていると思うけど、ゆっちゅりーは子供を産むと死んでしまうだろ?」 「ゆぅ・・・」 目を背けていたかった事実を突きつけられあからさまに落ち込むまりさ。 でも、本当に落ち込みたいのはこっちなんだぞ、このド畜生饅頭が。 「だからさ、それまで隠し切れれば良いだけの話なんだ。口の中に隠すときにはゆちゅりーの目を隠すし、他のフォローもお兄さんがするから」 「うん、わかった。ゆっくりくちのなかにかくすよ」 「ありがとう。よし、それじゃ、素早く隠せるようにゆっちゅりーのそばに行こうか?」 そう言って立ち上がると、出来る限り柔和に微笑んだ俺の表情を見たまりさは「ありがとう、おにいさん」とまりさらしからぬ殊勝な言葉を口にすると、ゆっくりゆっちゅりーの傍へと跳ねて行った。 「おにいさん、か・・・」 結論から言えば、赤ちゃんは明らかに奇形で、その上未熟児だった。 もっとも、まだおなかの中にいるのでゆっちゅりーには見えていないが、俺とまりさにはその赤ちゃんの異形がはっきりと確認できる。 いわゆる結合双生児というやつだ。しかもその子ゆっくりはまりさの右目とゆっちゅりーの左目が完全に一体化しているかなり異様だった。 ボールによる圧迫の影響で産道が小さかったこともあるだろうが、蔓から生まれてくるものよりもやや小さいくらいの未熟児なのに難産になったのはこれが原因だろう。 「ゆっぐりぃぃぃぃ・・・」 「ゆぎぃいぃぃぃ・・・」 2つの口からそれぞれに呻き声が漏れるが、その違和感にゆっちゅりーはまだ気付いていない。 産みの苦しみのせいで、そんなことを気に留めている余裕がないのだ。 「むぎゅぅう゛・・・・」 「がんばれ、ぱちゅりー!」 自分はすでに残酷な現実を突きつけられているにも関わらず、まりさはそれをゆっちゅりーに気取らせまいと、必死でわが子の安産を願う親を演じる。 本当に健気な奴だ。ちょっと前に独善的で思い上がりの激しい自信家だなんて言った自分が恥ずかしく思えてくる。 「ぎゅうううぅぅう・・・」 「もう少しだぞ、ゆっちゅりー!!」 あと少し・・・あと少しでゆっちゅりーの子供が産道から飛び出す。 俺はすぐにゆっちゅりーの視界をさえぎるべく彼女の後ろに回りこみ、まりさは子ゆっくりを口の中に隠すための準備に入った。 あと少し、あと少しで産まれる。 「む、むきゅううう!!」 俺とまりさが固唾を呑んで見守る中、ゆっちゅりーが悲鳴にも似た声を上げると子ゆっくりたちが飛び出した。 「「ゆっきゅりちちぇちぇね!」」 舌っ足らずで、あまり声も大きくなかったが紛れもなく、子供達はこの世界に生れ落ちた。 本当ならその誕生を心から祝福したいだろう。 子供達をゆっちゅりーの傍に連れて行って、彼女をねぎらってやりたいだろう。 きっと並のゆっくり、喚起のあまりにさっきの約束を忘れてそうしていただろう。 だが、このまりさは違っていた。自分のすべきことは何か?それをわきまえて、わき目も振らず2匹の、いや1対の子供を自分の口の中に丸呑みした。 「・・・まりさ、なにしてるの・・・?」 しかし、その賢明さが仇となった。子供を口の中に入れたまりさがこっちを振り返ったとき、俺はゆっちゅりーの視界をさえぎるどころか子供をしっかり見られるように彼女を抱きかかえていた。 「んぐ!?」 目の前の光景に、1週間とは言えゆっちゅりーの安産という共通の目的のため協力し合ってきた俺の予定以外の行動に動揺し、硬直するまりさ。 そして、この俺がその瞬間を逃がすはずがない。 「この腐れゆっくり!何をしやがるんだ!!」 怒鳴りつけるが早いか、飛び掛るのが早いか。まりさを捕らえた俺はさっきまでゆっちゅりーが入っていたゆっくりボールを手に取り、その中に子ゆっくりを食べた悪いゆっくりまりさを放り込んだ。 「だから・・・だから勝手に妊娠なんてしてほしくなかったんだよ・・・ッ!」 涙ながらに床をたたきつけ、すでに虫の息のゆっちゅりーを怒鳴りつける。 「ご、ごめん、なさい・・・むきゅ・・・う」 子供が奇形だった上に、夫とも言えるまりさに食べられてしまう瞬間を目撃してしまった以上、反論なんて出来るはずもない。 「お前が謝ったって仕方ないだろ?悪いのはお前を騙したこのまりさなんだから・・・」 「むむー、あいああおうあおおううう・・・」 「うるさい!」 抗議しようとするボールの中のまりさを蹴飛ばし、涙をぬぐう。 我ながら名演技だ。ゆっちゅりーが死ぬのが悲しいのは事実なんだけどな。 「こんな奴と交尾したばっかりに・・・何の罪もない子供が奇形の未熟児なんかに・・・!」 そういって更にボールの中のまりさを蹴りつける。 本当は俺が適当なこと言ってあんなボールに閉じ込めたからなんだけどな。 「挙句の果てには喰われる羽目になって・・・!」 怒鳴り散らしながら何度も何度も蹴りつける。 「ゆうぅぅぅ・・・」 ゆっちゅりーは複雑そうな表情でその様子を見守っている。 一度は愛し合ったまりさを助けるべきなのか、それとも“本当に自分を気遣ってくれていた”ご主人の悲しみと怒りを理解すべきなのか、判断しかねているらしい。 しかし、戸惑っているうちにも死が近づいてくる。どんどん体が動かなくなっていく。 「ゆ・・・ゆぅ・・・」 面白がってまりさを蹴りまくっているうちに、もはや喋ることすら間々ならなくなってしまったゆっちゅりー。 実はビッチだったことや俺の純情を踏みにじったことは今でも腹立たしいが1年近くも一緒に生活してきたんだ。 最後くらい、きちんと見送ってあげよう。そう思った俺は彼女をひざの上に乗せ、頭をなでながらお別れの言葉を口にした。 「もう最後だから言うけど、実は・・・お前の子供があんな風になったのは・・・お前がゆっくりボールに入ったせいなんだ」 このときの俺の表情は、きっと満面の笑みだったろう。 ・・・ゆっちゅりーは旅立った。実に良い表情で。そして、居間には俺とまりさだけが残された。 ボールの中のまりさの口の中には奇形の子供が1対。勿論、まりさを世話するつもりなんて微塵もない。 あいつ自身の口の中に少量ながらも食料が保存されているから、すぐに上で苦しむ出すということはないだろう。 死ぬまでボールの中で俺の嫁に手を出したことをゆっくり反省してもらおう。どんなおしおきが効果的だろうか? 振動を与えて発情させ、すっきりする前に止めてから、ゆっくりアリスの群れの中に放り込んでやるのも面白いかもしれないな。 すっきり出来ない苦痛と、アリスに囲まれている恐怖と・・・どっちで気が狂うのだろうか? そして、俺の膝の上には物言わぬゆっちゅりー。 よく見てみると子供を産んだ際に出来た産道が塞がっていない。死んでしまったから再生能力も失われてしまったのだろう。 ゆっくりと人間では交尾の方法が根本的に違う。だから人間とゆっくりが交尾をすることは不可能だ。 たまに咥えさせたり、体に空けた穴に挿入したりする者はいるらしいが、そんなものは交尾とは呼べない。 やっぱり、自然にある穴に挿入してこそ夫婦の営みだと思うんだ。そして今、膝の上にいる彼女には普段のゆっくりにないものが付いている。 そんなことを考えた直後、まりさの最初のおしおきが決定した。 もっとも、ただ見ているだけで良いのだからこんなものをおしおきと呼べるかは正直怪しいところだけど。 ---あとがき?--- ホスト規制で7回はイってしまったぜ。 今までに比べたら若干虐待描写は多めだと思います。 しかしそれでも少ないのは、作者がそのものを見せるより想像力を掻き立てるほうが良いと考えているからです。 まあ、こんなしょっぱい文章じゃ想像力なんて掻き立てられないでしょうが。 最初のお仕置きは言うまでもなく目の前でゆっちゅりーを屍姦ですね。なまじ頭が良くて義理堅いこのまりさだからこそ効果のありそうなものです。 お兄さん変態すぎます。しかも、ゆっちゅりーは好きだけど別にゆっくりが好きなわけではないとか、訳が分からん。 ホスト規制で書き込めないのでここで色々。 ゆっくりを野球に使いたいときはゴム製ゆっくりボールをご使用ください。 使い方は簡単! テニスボールサイズで、中が空洞のゴム球の中に一箇所だけ開いている穴から子ゆっくりを入れてください。 ただし、その際には背中から押し込むようにして穴の部分が口のところに来るようにするのをお忘れなく。 ゴム餡子の流出を抑えてくれるので死ぬことはありません。また、穴が開いているので窒息することもありません。 一つだけ残念なのはがっちり抑えつけられるせいでゆっくりたちの阿鼻叫喚があまり聞こえないこと。 サッカーやその他球技の場合でもfuku1391.txtにあるその競技にあったサイズのボールにゆっくりを入れて、 安全のためにゴムカバーをかければ問題ありません。さあ、皆様、ゆっくりボールでゆっくりスポーツライフをお楽しみください。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4575.html
多数の設定お借りさせていただいています セリフすっきり 出産要素 家族 ・赤ちゃん ***************************************************************** 赤ちゃんのゆっくり返し ***************************************************************** れいむは今までのゆん生を振りかえっていた。 やさしいおかあさんとたくましいおとうさん、 たくさんのおねえちゃんたくさんのいもうとに囲まれてゆっくりした日々。 おさんぽ途中に出会いひとめぼれしたまりさ。 思い切って告白したらまりさも好きと言ってくれた感動。 大好きなまりさと一緒にいれる毎日。 なら次にすることは…。 「ねぇ、まりさ」 「なに?れいむ」 「れいむたちゆっくりしてるけどさ」 「うん」 「あかちゃんがいればもっとゆっくりできない?」 「そうだね!あかちゃんがいればとってもゆっくりできるね!」 「じゃあ…しよ?きて…まりさ…」 「うんいまいくよ…」 「「んほおおおおぉぉぉぉぉ!!すっきりいいいぃぃぃぃぃ!!!」」 真夜中の山に響くゆっくりのクライマックスな叫び声。 行為が終わった後自分のお腹がふっくらと膨らんでいくのが目に見えた。 「ゆゆ?れいむにんっしんっしたよ!」 「やったねれいむ!かぞくがふえるよ!」 赤ちゃんが生まれたらどんなことをしようか。 一緒にいっぱいゆっくりできるご飯をむしゃむしゃしよう、 一緒にいっぱいおひさまに当たってぽかぽかしよう、 一緒にいっぱいおうたをうたおう、 一緒にいっぱいすりすりしよう、 一緒に…。 れいむが未来に見えるすばらしいゆっくりエブリディを想像している横で、 まりさはすっきり疲れか早々に寝込んでいた。 にんしんっしたその日かられいむは無性にお腹が減るのを感じた。 きっと赤ちゃんに栄養を欲しがっているんだ。 まりさにゆっくりできるご飯をたくさん取ってきてもらおう。 「あかちゃんのためにおいしいごはんをたくさんとってきてね!!」 「まりさがんばるね!」 まりさが外で頑張っている間は何をしようか。 そうだ、赤ちゃんがゆっくりできるようにおうたを歌ってあげよう。 「ゆっくりそだってね!あかちゃん!」 「ゆ~♪ゆゆゆ~♪ゆゆゆゆゆ~♪」 おうたを歌い疲れて眠ってしまっていたところにまりさが帰ってきた。 帽子にたくさんのご飯が詰まっている。むしゃむしゃして赤ちゃんをゆっくり育てよう。 「ただいまれいむ!あかちゃんのためにたくさんむしゃむしゃしてね!」 「これであかちゃんがゆっくりできるよ!」 「じゃあいただきますを「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「もうぽんぽんいっぱいだよ!あかちゃんゆっくりそだってね!」 たくさんご飯を食べたらもうお空が真っ暗。 早く寝ないと赤ちゃんゆっくりできないよね。 「おやすみ!まりさ!あしたもゆっくりしていってね!」 赤ちゃんのため食っては歌い食っては眠りの生活が始まってからしばらくしたら、 お腹がにんっしんっする前の自分が入ってしまいそうなくらい膨らんだ。 たまに自分の意思に反してお腹がピクピクと動くことも増えてきた。 もうすぐ赤ちゃんに会える、とってもゆっくりした赤ちゃんに…。 そのためにはたくさんゆっくりしてあげないと! 「まりさ!きょうもよろしくね!」 「…うん!まりさがんばるよ!!」 ***** ところ変わってれいむのお腹の中。 すでに形の整った5匹の赤ちゃんが相談していた。 「おきゃーしゃんとっちぇもゆっくちしてるね!」 「ゆっくり♪ゆっくり♪」 「そのゆっくちにまりしゃはどうやっておかえちしようか」 「ゆゆーん♪そんにゃのかわいいれいみゅをみればいちころだよ!」 「まりしゃそれだけじゃたりないようなきがするよ!」 「「「「ゆゆ??」」」」 一番の親孝行はゆっくりしている自分を見せることだ。 それだけではいけないのか?他の赤ちゃんが驚いた。 「きょれだけおきゃーしゃんがゆっくちちてくれてるんだもん! まりしゃたちをみるだけじゃおかえちにならにゃいかも」 「「「「ゆー……」」」」 とってもゆっくりしているお母さん。 そんなお母さんをゆっくりさせるには自分を見せる以外のワンポイントゆっくりが必要。 そう感じて赤ゆっくりたちは考え込んだ。 「れいみゅゆっくちおもいついちゃよ!」 「どんにゃことしゅるの?」 「れいみゅきゃわいいことびゃをつかっちぇゆっくちしゃせてあげりゅよ!」 「どんにゃの?ゆっくちおしえちぇね!」 「こうやりゅんだりょ!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!!」 「ゆゆーん♪しゅっごくゆっくちちてるね!」 赤れいむは舌っ足らずなしゃべりを磨きにかけることで、 母性本能ならぬゆっくり本能を刺激しようと考えた。 「まりしゃはわいるどにいくよ!」 「ゆっくちきににゃる!」 「『ゆっくちちていってね!』いがいのあいさつをしゅるよ!」 「かっきょいいね!」 赤まりさは『ゆっくちちていってね!』と言わずに、 自分オリジナルの挨拶を実行することで、 今までの赤ちゃんとは何かが違う感を出すことにした。 「れいみゅはへんかきゅうだよ!」 「へんきゃきゅう?」 「うちろからうまれりゅよ!」 「おきゃーしゃんもびっくちだね!」 普通ゆっくりの胎生型出産の場合、赤ちゃんは顔から出てくる。 赤れいむはその法則を覆すことによって、 お母さんに新鮮な驚きを与えようと考えた。 「まりしゃはかきぇにでるよ!」 「どんなかきぇかおちえてね!」 「おきゃざりをもっちぇいかないよ!!」 「ゆゆ!それはゆっくちできないよ!」 「ふっふっふ…まりしゃはちゃんとかんがえちぇるよ!」 飾りのないゆっくりは他のゆっくりにゆっくりできないゆっくりと言われる。 赤まりさはあえて飾りを捨てることにより、 この子はお母さんがゆっくりさせてあげなきゃだめだ、 と使命感を煽るように演出しようとした。 「れいみゅはなにかおもいついた?」 「れいみゅは…ひみちゅだよ!」 「もったいぶりゃないでゆっくちおちえてね!!」 「あとのおたのちみだよ!」 ***** 「むーしゃ!むーしゃ!しあわうっ!!」 まりさの持ってきたご飯を食べた直後、 お腹に今までに感じたことのない強い痛みが走った。 「いだ゛い゛い゛い゛!!れいむのぼんぼんさけちゃう゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 「れいむ!あかちゃんがうまれるよ!がんばって!!」 れいむの顎のあたりにぽっかり穴が空き、そこから赤ちゃんが見える。 しかしその穴は狭い、そこへその穴の2倍以上の大きさの赤ちゃんが通ろうとしている。 皮が引っ張られ今にもちぎれそう、痛みがゆっくりとゆっくりとれいむを蝕んでいく。 「うぐぐぐぐぐぐ!!」 「れいむ!あかちゃんだよ!あかちゃんのかおがみえたよ!!」 痛みで意識を失いそうな中、赤ちゃんという単語だけがれいむの精神をつないでいた。 早く赤ちゃんに会いたい!この思いがれいむの体を無意識に動かしていた。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!」 「れいむ!もうすぐだよ!あかちゃんでてくるよ!」 ポンッ! その音と共にれいむを蝕んでいた痛みが急速に引いていった。 ようやく辺りを見回す余裕を得られたれいむが見たものは…。 つぶらなおめめ、かわいいお口、しっとりと黒い髪に、 蝶のような大きなリボンを結んでいる。 まるで自分を見ているように思えるほどれいむに似た赤ちゃんだ。 赤ちゃんを産んだらまず何をするか、挨拶だ。 「ゆっくりしていってね!」とお互いに言いあうことではじめて、 お互いにゆっくりできる存在と認識することができる。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!!」 どうもおかしい。 うまくしゃべれない赤ちゃんでも「ゆっくちちていってね」くらいは言えるはずだ。 なのにこの赤ちゃんはそれすら言えてない。 これは聞き違いなんだ、もう一度やり直して…。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!! ゆゆ?おきゃあしゃんっはちょおうっちぇもぅゆっきゅちちちぇりゅにぇえ!! きゃひゃいひれいみゅをみちぇみょうぅちょゆっきゅちちちぇいっっち」 「うまくしゃべれないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「ゆべっ!」 なかなな挨拶ができない赤れいむにしびれを切らしたまりさは、 赤ゆっくりにあんよの一撃をくらわせる。 「みゃぢゃ…ゆっきゅち…ちちぇにゃいにょに…」 「ゆっくりしね!」 ギリギリ息があった赤れいむにとどめの一撃が炸裂。 あまりにも展開が早すぎてれいむの餡子は付いていけない。 そして、まりさの下につぶれている赤れいむを見つけた。 なんで?なんで?なんで?なんで? (「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」) 「ど…」 (「すーりすーり!おかあさんのほっぺとってもぽかぽかさんだよ!」) 「どぼじで…」 (「おかーさんのことだーいすきだよ!」) 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「ちゃんとしゃべれないあかちゃんはゆっくりできないからだよ!」 ちゃんとしゃべれなくってこれから練習していけばいいじゃない。 ゆっくり見守っていけばいいじゃない。 それなのに…それなのに…それなのに…。 「れいむ!またあかちゃんがうまれてくるよ!!」 「ゆゆ!?ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!」 初回に穴がある程度広がったおかげか、 二回目の出産はそれほど痛みを感じなかったが、やはり慣れるものではない。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!!」 ポンッ! 次に産まれてきたのは、 りりしい瞳、輝く金髪の上に形の良い山高帽をちょこんと乗っけた、 愛するまりさそっくりの赤ちゃん。 まりさに似てるんだ、だから挨拶もきちんとできるはず。 「ゆっくりしていってね!!」 「おーっちゅ!」 え…? なんで挨拶出来ないのだろう。 もしかしてれいむのことを弄んでいるのだろうか。 「ゆっくりしていってね!!」 「おーっちゅっちゅ!!」 「あいさつをきちんとできないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「おーっちぶじ!」 キチンと挨拶が出来ないとまりさに判断された赤まりさは早々に潰されてしまった。 愛するまりさに似た赤ちゃんがあっという間に餡子の塊へと姿を変える。 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「あいさつできないあかちゃんはゆっくりできないからだよ!」 挨拶なんて所詮形式的な儀式のようなもの。 それができないがためにいきなり殺されるなんてあまりにも不条理だ。 ゆっくり挨拶を教えることもできたのに…できたのに…できたのに…。 「れいむ!またまたあかちゃんがうまれてくるよ!!」 「ゆゆ??」ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!! 二回目の出産があれほど楽だったのだから、三回目はもっと楽だろう。 そうたかをくくっていたのだが。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!!ゆーゆっゆー!!!」 「どぼじでうばれでぐれないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 いくら力んでも赤ちゃんが出てくる気配がない。 まるで赤ちゃんが自発的に出る気がないように。 「れいむ!このあかちゃんおかおがないよ!」 「ぞんなわげないでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛?! いだい゛い゛い゛ぼんぼんいだい゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」 「ゆ゛ーゆ゛っゆ゛ー!ゆ゛ーゆ゛っゆ゛ー!!」 実に最初の出産の数倍の時間をかけてようやくポンッ!と赤ちゃんが産まれてきた。 その時出産の衝撃で一時的に空を飛ぶ赤ちゃんと一瞬目があったような気が…気のせいだ。。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくちちていってね!!」 ちゃんと挨拶をしてくれた! 今まで挨拶が出来ないからってまりさが赤ちゃんをゆっくりさせちゃったけど、 ちゃんと挨拶できたからもうまりさは怒らないはず。 赤ちゃん、これからもずーっとゆっくりしていってね。 「ところであかちゃん」 「あかちゃんじゃないよ!れいみゅはれいみゅだよ!」 「どうしてうしろからうまれたの?れいむすごくくるしそうだったよ」 「あれはれいみゅがきゃわいくうまれてくるためにしちゃんだよ! とっちぇもゆっくちできちゃでしょ!」 「れいむをくるしめるあかちゃんはゆっくりしね!」 「きゃわいくってごべっ!」 まりさのあんよに潰されて物言わぬ饅頭となる赤れいむ。 何で?今度はちゃんと挨拶してくれたのに何が気に入らなかった? 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「おやをくるしめてはんせいしないあかちゃんはしょうらいゲスかくていだからだよ!」 ゲスになるかなんてこれからの教育次第でゆっくり決まるものじゃないか。 それなのに一回間違ったことをしただけでゲス確定なんて。 その理論ならなら自分はとんでもなくゲスな奴だ。 きっとまりさは焦っているんだ。なだめなきゃ、なだめなきゃ。 「まりざあ゛あ゛あ゛もっどゆっぐりじでよお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 「そんなことよりまたまたまたあかちゃんがうまれてくるよ!」 「ゆゆ?ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 四回目の出産で、さらに先ほど無駄に力んだためか穴はもうガバガバ。 すんなりと産まれてきてくれた。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくちちていってね!!」 良かった。この子もきちんと挨拶できる。 ちゃんと苦しめずに産まれてくれたから、 きっとまりさも赤ちゃんのことを褒めてくれるはず。 このまりさに似たりりしい瞳に輝く金髪にその上にちょこんと乗った山高帽が………ない!? 「かざりがないあかちゃんはゆっくりしね!!」 「ゆべっ!」 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「かざりがないゆっくりはゆっくりできないでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??! ゆっくりかいのじょうしきでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!?」 確かに飾りのないゆっくりはゆっくりできない。誰が誰かわからないからだ。 でもこの赤ちゃんは飾りがなくても確かに自分たちの赤ちゃんということがわかる。 それならば飾りなんて本来の意味での飾りだ。 「さっきからゆっくりできないあかちゃんばかりうんでるね!ばかなの?しぬの?」 「でもまだあとひとりあかちゃんがのこってるよ!」 「ほんとう?だったらゆっくりみせてね!!」 お腹の中にはあと赤ちゃんが一人残っている感覚がある。 最後までゆっくりした赤ちゃんだもの、見ればきっとまりさもゆっくりしてくれる。 そしたら三人で末永くゆっくりしよう。 「あかちゃん!ゆっくりうまれてきてね!!」 ***** 一方れいむのお腹の中では赤れいむがゆっくりしていた。 「あなさんがひらいちゃけどれいみゅはうまれにゃいよ!」 「みんにゃはうまれちゃったけれでも、れいみゅもうまれちゃったら おきゃーしゃんのぽんぽんがさみちくなるからうまれないよ!」 「おきゃーしゃんのなかにずっといる。れいみゅのことがみりぇなくても、 れいみゅがぽんぽんにいるだきぇでおかーしゃんはゆっくちできるんだよ!」 「れいみゅおきゃーしゃんにあえないからさみちいけれども、 おきゃーしゃんをゆっくちできるならがまんしゅるよ!」 「おきゃーしゃんゆっくちしていってね!」 ***** 「あかちゃんはまだ?ゆっくりしすぎだよ?」 「どぼじであがぢゃんうばれでぐれないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??」 なぜこんな時に赤ちゃんが産まれてくれないのか、れいむは考えた。 もう赤ちゃんはすでに死んでいる。これはない、確かに赤ちゃんの感覚があった。 赤ちゃんは弱すぎて出ることができない。これもない。手助けすれば絶対出れる。 こうなれば自発的に産まれるのを拒否しているようにしか思えない。 つまり、 「まりさ!あかちゃんはれいむのなかでゆっくりしたりないんだよ! だからあかちゃんのためにたくさんごはんをとってきてね!! 「だまれ…」 「あかちゃんはえいようがたりないとしんじゃうだよお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??! そんなこともわからないなんてばかなの?しぬの?」 「だまれえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 まりさは何てわがままを言っているんだ。 赤ちゃんはれいむたちをもっとゆっくりさせてくれる存在で、 そのゆっくりのために働くのは至極当然のことであって… 「おばえは!あかちゃんがでぎでがら!ずーっとばりざをえざをどってぐるどうぐみたいにじで! だまにのぞいだらおうだをうだっだりひるねじだりとおばえばっかりゆっぐりじでるじゃないか!!」 「でもれいむがゆっくりしないとあかちゃんは」 「ぞれはおおめにみるどじで!づがれでがえっでぎだばりざに! おばえはいだわりのごどばをがげだごどがあるか?!」 「あがぢゃんがでぎでがらおばえはいづもいづも「これであかちゃんがゆっくりできるよ」 とあがぢゃんのごどばがり!ばりざのごどなんでなーんもみでぐれない!」 「でもあかちゃんはだいじだよ?」 「ほらまだあがぢゃんのごど!!ばりざはおばえのどれいじゃない゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛!! じがもぜっがくのあがぢゃんはびんなゆっぐりできないやづら!! ごんなごどになるんだっだらおばえなんがどずっぎりじなげればよがっだ!!!」 「ど、どぼじでぞんなごどいう゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「どうもごうもあるが!!おばえのがおなんでにどどびだぐない゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 そう言うとまりさは外に出て行ってしまった。 赤ちゃんのことを大切に思えないなんて恐ろしいほどのゲスだ。 でも今はそんなことより今は赤ちゃんの方が大事だ、早く赤ちゃんのためにむしゃむしゃしないと。 確か貯蔵庫に…。 「どぼじでごはんざんがないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!??」 きっとまりさがこっそり全部食べてしまったんだ。なんてゲス。 仕方ない、ならば自分で動いてご飯を取りに行くしか…。 ん?体が重くて動かない…。 「どぼじでれいぶあるげないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?? これじゃあごはんとりにいげない゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 ご飯をどうしようと考えていたら急に力が抜けてきた。 大きくなった赤ちゃんが今まで以上にれいむの栄養を吸収し始めたのだ。 「あがぢゃんんんんん!ずわないでえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!! おかあざんじんじゃう゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」 あ…目がかすんできた…。 れいむはもうだめなんだ。 赤ちゃん、一緒にすりすりしたかったなー。 「もっどゆっぐりじだがっだ…」 こうしてれいむは赤ちゃんの望み通り、 とーーーーーってもゆっくりすることができたとさ。 終 ***************************************************************** 自分のゆっくりできることを他人にしなさい。 聖ゆっくりの教えを産まれる前から実践できるってすごい。 今まで書いた作品 初めての制裁 僕のうさばらし ゆっくりは死んだ 見せあいっこ ゆっくりの伝道師 妄想お兄さん このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2926.html
竹取り男とゆっくり 4 (fuku4299・fuku4374・fuku4529の続きです) 深更…。 フクロウの鳴き声ひびく山上の自宅に帰りついた男は、荷車を納めると、れいむとぱちゅりーの入ったケースを抱え上げた。 2匹とも狭いケースにギュウギュウ詰めのままぐっすりと眠っている。 あの店主の話では、ゆっくりを強制的にゆっくりと眠らせる特殊加工が施されているらしい。 昨日と同じようにテーブルの上にケースを置くと、男はしげしげとゆっくりたちに見入っていた。 『ゆっくり……たけをかっていってね!』 …………あの言葉。 あの時れいむが何を思ったのか知らないが、根はそんなに悪いヤツじゃないんだろう。 初日と同様デカイ口をあんぐりと開けて、喉の奥をこれでもかと見せつけながらイビキをかくれいむを見ながら、そんなことを思った。 対照的に、可愛い口をリスのように結んでスヤスヤ眠るぱちゅりー。 寝顔から判断するに、こいつとも何となくうまくやっていけそうな気がする。 少なくともあのまりさ種のような性格の悪さだけは勘弁してほしい。 「さて、と」 竹取りを生業とする山男の朝は早い。 すでに午前様になっており一刻も早く寝なければいけないのだが…… 男は好奇心を抑えられず、ケースの横のテープを引っ張って、まずはれいむを底に落とした。 デンッ! 「…………くそっ、この鈍感饅頭が」 今回もれいむは目覚めなかった。 それならばと、男は途中まで抜いた厚さ1センチほどの床板を、徐々に押し戻していった。 「い、いひゃいよ! ………ゆゆゆっ!?」 心地よい眠りを妨げられたれいむは最初こそ顔をしかめていたが、男と目が合うなり口を開けて震え出した。 「よぉれいむ。これから一緒に素敵な餡子ライフを送ろうな!」 てっきり、元いた甘味屋に返品されたと思っていたれいむ。 再び男の姿を目の当たりにして、恐怖のあまり固まってしまっている。 男がさらに板を押し込むと、やわらかいれいむの頬に床板がめり込んでいく。 「ゆひゅうぅぅ……ゆっくいやめひぇね! ゆっくいやめひぇね!」 れいむは反対側に逃げようとするが、狭いケースにそんなスペースはない。 ぶにゅぅぅ… 「ゆびいぃぃぃぃっ! ゆっぐいやべでぇ!!」 そのまま顔の中心まで板をめりこませてから、男は許してやった。 あんまり強くめりこまされたものだから、れいむの体は"く"の字に曲がってしまった。 頬にもくっきりと横線がついて、一部は薄く切れて中の餡子が覗いている。 「ゆ゙っ…ゆ゙っ…ゆ゙っ…」 涙目になって震えているれいむ。中身も甘さを増したことだろう…。 …次は紫色のぱちゅりーだ。 男はテープを引っ張って、床を完全に抜き取った。 ポテ… そう、そんな感じ。 やわらかくて軽いものが落っこちた感じ。 「むきゅ……むきゅうん……」 衝撃が軽かったのでまだ寝ぼけているらしく、ぱちゅりーは小さな口でむきゅむきゅ言いながら目を開けようとしない。 それならばと、男はれいむと同じように、抜いた床をケースに押し込んで、ぱちゅりーの体を挟んでやろうとした。 そのとき… 「ゆっくりしていってねっ!! ゆっくりしていってねっ!!」 まだ形の戻りきっていないれいむが、常にも増してけたたましくお決まりの挨拶を叫んだ。 あまりの大声に、密着していたぱちゅりーはびっくりして飛び起きた。 「むっきゅう! なにごとなの! きんきゅうじたいはっせい!?」 ぱちゅりーはあたりを見回そうとするが、ケースに阻まれて動けないことに気づいた。 「むきゅ? うごけないわ」 「ぱちゅりー!! ゆっくりしていってね!!」 「れいむ? ゆっくりしていってね。 …もうちょっとしずかにはなしてね」 男はぱちゅりーが目を覚ましたので、抜き取った床板を脇にやった。 どうやられいむは自分と同じ目に合わされそうなぱちゅりーの身を案じて、大声を出して起こしたようだ。 初対面の同族を助けようとするあたり、それなりに思いやりがある。 「むきゅ?」 ぱちゅりーがケース越しに男に気づいた。 「おにいさんはだれ?」 おっ! おじさんじゃなく、おにいさんときたか。 せっかくだからお互いの信頼を深めるために会話を楽しんでみようと、男はぱちゅりーをケースから出してテーブルの上に置いた。 ケースに残されたれいむは自分も出して欲しそうな顔をしていたが、あっさり放置してやった。 「おにいさん、れいむもここからゆっくりだしてね!」 「俺か? 俺は、今日甘味屋でお前を買ってきたお前の飼い主だよ」 「かいぬし? …むきゅ! ぱちぇはおにいさんなんかにかわれてないわよ」 一人称は"ぱちぇ"…と。 なにやら反論してくるが、そこはスルー。 ついでにれいむもスルー。 「ゆゆ、ぱちゅりーもれいむをだしてくれるように、おにいさんにたのんでね!」 「へぇ…やっぱり"ゆゆ!"とか言わないんだな。"おいしい食べ物をゆっくり持ってきてね!"とかも言わないし…」 「むっきゅ! せんれんされたぱちぇは、むいみなことをいったりたべものをねだったりしないわよ」 じゃあ「むきゅ」には意味があるのか…? 「おにいさん! ぱちゅりー! れいむもゆっくりかまってね!」 「それに、目が座ってる…」 「むっきゅ〜ん! ちしきとけいけんをたくわえたぱちぇは、ものごとにどうじないのよ」 まだ眠いだけだろ…? 「こっちむいてよぉ!」 「声もちいさいから、一緒にいてうるさくなくていいかも…」 「むきゅきゅきゅきゅ! しずかなこえでじょうひんにはなすのは、しゅくじょのたしなみね」 ……結論、面倒くさい。 自分の語彙の豊富さをいちいちアピールしてくるのが何ともメンドクサイ。 そんなぱちゅりーをちょっといじってやろうと思う男だった。 「ゆえぇぇぇん! だしてよ! れいむもゆっくりさせてよぉ!」 「ところで、ぱちぇは何か欲しいものはあるか?」 「むきゅうっ! ぱちぇをぱちぇとよんでいいのは、ぱちぇとぱちぇのしんゆうだけよ」 「ゅ…………」 「そ、そうか…。それで、必要なものはあるか? なにか足りないものとか?」 「むきゅきゅ…ぱちぇはちしきよくをもてあましてるから、ごほんがよみたいわ。おにいさんはごほんをもってきてね」 食べ物はねだらなくても、本はねだってくるんだな…。 「…………」 「本か。悪いけど俺、本読まないからウチには一冊もないよ」 「むきゅうぅー!? ごほんがないなんて……ごほんをよまないなんて……」 ものごとに動じないんじゃなかったのか…? 「…………」 「それにしてもぱちゅりーは変な帽子をかぶってるな。ちょっと見せてくれよ」 「むきゃあーーー!! ぱちぇのおぼうしとらないでぇ!! …ごほっごほっ!!」 ぱちゅりーは帽子を取り返そうと、半狂乱になってピョンピョン飛びはねた あのぉ……淑女のたしなみは…? こうして偽りの仮面をはがされて、だんだんゆっくりらしくなっていくゆっくりぱちゅりー。 放置プレイ中のれいむはというと、下を向いたまま無言で泣きべそをかいていた。 「むっぎゅっ…ごっほ、ごほぉ! ごぼお゙!! ごぼお゙お゙!!」 と…単にむせたと思っていたぱちゅりーの咳が、どんどんひどくなってくる。 「おいおい、大丈夫か?」 とりあえずトントンと優しく後頭部を叩いてやる。 「ぶえっぽ!! ぎゅぼえっぽ!!!」 もっとひどくなった(汗) 「ごほっ、ごほぉ、ぎゅぼお゙お゙お゙ッ!!!」 そして、ぱちゅりーはこの日最大級の咳をするなり、テーブルに白いかたまりをぶちまけて仰向けにひっくり返った。 「ちょっ!!」 男もさすがに慌てた。 咳こんで発作を起こすってことは、あっためたほうがいいのか!? 男は急いで押入れから毛布を出すと、ぱちゅりーを抱きしめたまま毛布にくるまった。 「そうだ、何かあったかい飲み物!」 男はぱちゅりーを抱いて毛布をかぶったまま、台所に行って水の入った鍋を火にかける。 「ごほっ、ごほっ、え゙ほっ」 苦しそうに咳き込むぱちゅりーの口元と男の服には、白い飛沫が点々と飛んでいた。 しばらく待ってから、湯が沸騰する前に茶椀に注ぐ。 「ほら、白湯だ、ゆっくり飲めよ? …ゆっくりだけにな!」 いらん駄洒落を飛ばしながら、男は茶椀の白湯をぱちゅりーの口元に持っていく。 そうして一口含ませては飲み込ませ、また含ませては飲み込ませ、ややあって体があったまると、ぱちゅりーの咳も少しずつ収まってきた。 「まだ飲むか?」 「むっきゅ……むっきゅ……」 ぱちゅりーはギュッと目を閉じたまま、口を三角にして(△←こんな感じ)おとなしく飲んでいる。 「ああもう、どうなるかと思ったぜ」 そのままコップ2杯分の白湯を飲み干したぱちゅりーは、しばらくゴホゴホやっていたが、まもなく眠ってしまった。 * * * ぱちゅりーが目覚めたのは、太陽が中天を越えてからだった。 発作は完全に収まっている。 「むきゅ…むきゅ…」 腕の隙間をかいくぐり、毛布をよけて顔を出すと、目の前に男の寝顔があった。 男はぱちゅりーと一緒に毛布にくるまって、壁に背中をあずけて座って寝ていた。 「むきゅ…」 「うぅぅ、ん?」 毛布の中で何かがモゾモゾと動く感触に、男は目を覚ました。 「おぉ、ぱちゅりー。具合はどうだ? 咳は止まったか?」 「むっきゅん、かんぜんふっかつよ」 「よかったな。じゃ、俺も起きるか」 抱きかかえていたぱちゅりーをテーブルの上に置く。 すぐ側のケースの中では、れいむが泣き疲れて眠っていた。 うんと背伸びをして、毛布を押入れにしまう男。 だいぶ遅くなったが、竹を切りに行くために服を着替えようとした男は、胸にこびり付いていた白いかたまりに気がついた 「あれ? これって…」 「むきゅうぅ!? そ、それは…」 たしかぱちゅりーが吐き出したものだ。 そういえばぱちゅりーの中身は何だろう…? やや凝固したそれを指ですくうと、男は口に入れてみた。 「甘〜い。お前の中身って、生クリームだったんだな」 「む、むきゅうん……」 振り向いた男の笑顔に耐えきれず、ぱちゅりーはうつむいた。 そんなぱちゅりーを気にもせずケースに入れて蓋をすると、男は急いで服装を整えて、竹を切るべく家を出て行った。 その日の夕刻に、男は山での仕事を終えて家に帰った。 手早く湯を浴びて居間に入ると、ケースの中のれいむとぱちゅりーが視線を向けてきた。 「むきゅ、おかえりなさい」 「…………」 最初はツンツンしていたぱちゅりーだったが、助けてくれたことに感謝したのか、男を信頼しているようだった。 一方、今度はれいむがツンツンしている。 一瞬だけ放置プレイのつもりが、ぱちゅりーの介護によって一晩中放置プレイになってしまったせいで、れいむはすっかり反社会的になっていた。 男はちょっと心配になって、れいむを持ち上げてみた。 「ゆっ!? はなしてね! れいむのことなんか、ゆっくりほっといてね!!」 れいむは自暴自棄になってジタバタと暴れる。 「なんだ、元気はあるんだな」 男は安心してれいむを戻した。 れいむは解放されてホッとしているような構ってもらえず残念そうな、ゆっくりにしては複雑な表情を浮かべていた。 ゆっくりのくせに、ずいぶんと生意気である。 …さて、男は台所に行くと、山で取ってきた山菜を米と一緒に炊いて、芋の煮っ転がしも作った。 料理をテーブルに並べると、2匹と一緒に食事を囲んで食べた。 「うっめ!! これめっちゃうっめ!! へぶんじょうたい!!」 さっきの態度はどこへやら、温かい煮物と山菜ご飯をハフハフしながら食い散らかすれいむ。 ぱちゅりーはというと、小さな口でこぼさず上手に食べていた。 「おにいさん! れいむにもっとちょうだいね!」 普段ならば返事の代わりにビンタでも一発くれるところだが、今日は大切な話があるので許しておく。 男は釜から山菜ご飯を持ってきてやった。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」などと悠長に食べていられないのか、茶碗に顔を突っ込んで「めっちゃうっめ!」を繰り返している。 対照的に、ぱちゅりーは食が進んでいない。 「ぱちゅりー! ごはんたべないなら、ぜんぶれいむにちょうだいね!」 「むきゅ…あげるわ」 「ぱちゅりー、病み上がりなんだからちゃんと食べろよ」 「ぱちぇはおなかすいてないの…」 「おにいさん、ぱちゅりーはあんまりたべないんだよ! かわりにれいむがたくさんたべてあげるから、ゆっくりあんしんしてね!」 「そうなのか?」 「むきゅう…」 「おにいさん、もうなくなっちゃったよ! もっともってきてね! ゆっくりでいいよ!」 空っぽになった茶碗を舌で指して催促すると、れいむはその舌で煮物をすくい始めた。 男が釜ごと持ってテーブルに戻ると、れいむはすでに煮物をたいらげて皿まで舐めていた。 「ぺーろぺーろ、しあわせー!! …ゆっ! はやくそのごはんをちょうだいね!」 「おい、お前食いすぎだぞ。少しは遠慮を…」 「なにしてるの? はやくしてよ! おじさんきこえないの? ばかなの? しぬの?」 「…………このやろう!!!」 男はれいむをわしづかみにすると、持ってきた釜の中に頭から(…といっても頭しかないが)叩き込んだ。 「ゆべッ! おべべまっぐら゙だよぅ!! いぎがでぎないよぅ!! ゆっぐぢだじでね゙ぇぇぇ!!!」 「うるせぇ! そこで思う存分ゆっくりしてろ!!」 「ゆ…ゆっぐじ!?」 れいむはようやく気づいたようだ。 自分が頭から(…といっても頭しかないが)炊き込みご飯の釜の中にいることに。 「ゆっ!? ゆ゙ゆ゙ゆ゙っ!? でいぶごはんにうまっでるよ!! へぶん!! でいぶへぶん!! ごはんじょうたい!!!」 美味しいご飯に頭から埋もれて感激したれいむが、意味不明な言葉を叫びだす。 とはいえ釜の中にすっぽり入っているため、くぐもった声にしかならず、それほどうるさくはない。 こいつはもうダメだ…。 そう思った男は、大切な話をぱちゅりーから話すことにした。 「なあ、ぱちゅりー。実は話がある」 「むっきゅ? なぁに?」 「このれいむと子作りしてほしい」 「いやよ」 あっけなく玉砕してしまった。だが、男は諦めない。 別にれいむの名誉のためではなく、ここで諦めては何のためにこいつらを買ってきたのか意味がないのだ。 「そこをなんとか」 「むきゅっ!」 ぱちゅりーはむきゅっ! と自分で効果音をつけて、あっちを向いてしまった。 男は両手でもう一度こっちを向かせた。 「気持ちはわかる。俺も自分がゆっくりだったら、こんな意地汚いれいむなんかと夫婦になるのは嫌だ。でもな…」 俺は饅頭が喰いたいんだ! …なんてこと言うわけにもいかないので、 「結婚をして、子供をつくって、立派に育てあげるのが、女の幸せってもんじゃないのか?」 「むっきゅう! ぱちぇはれいむとはけっこんしたくないの!」 「れいむとは? じゃあ、お前が気にいったゆっくりとならいいよな? 俺、竹切りながら立派なゆっくりを探してきてやるから」 てか、なんでいつの間にか、こいつのお見合い話に飛んでるんだ? いや、深くは考えまい。今はなんとかこいつをその気にさせて、つがいになって繁殖してもらわなければ…! そう決意して、男はぱちゅりーを口説き落とそうとたたみかける。 「自分のおでこから茎が伸びて、たくさんの赤ちゃんが実るのを想像してみろ。可愛いぞぉ。その赤ちゃんたちが成長してお前にこう言うんだ。 ……ゆっくちしちぇいっちぇにぇッ!!」 男は甘味屋で見た、赤ゆっくりたちが生まれ落ちた情景を思い出しながら、必死に口調を真似てみた。 本音を言えば赤まりさも赤ありすも全然可愛くなかったが、ここは嘘も方便である。 ぱちゅりーはといえば、顔を伏せて目をつむっている。きっと未来の家庭を想像しているのだろう。 今がチャンスである。 「それでな、お前の赤ちゃんたちは、こうやってちょいちょい〜んってお前にくっついてさ、やるんだろ? あれ。あの、すーりすーりとかって」 男は自分の拳を赤ちゃんに見立てて、ぱちゅりーの頬にくっつけてすりすりと撫でた。 ぱちゅりーのもち肌が気持ちよかった。 「で、お前も赤ちゃんにすりすりして、最高の笑顔で迎えるんだ。ほら、言ってみろ。お前らがいつもやるあいさつをこの赤ちゃんに」 男はぱちゅりーの前に拳を置いた。 ぱちゅりーは今、夢想の中で家族と一緒にいる。 ここで男の拳に「ゆっくりしていってね!」と血迷うぐらいどっぷり夢につかってれば、もう計画は達成したも同然だ。 「さあ、ぱちゅりー、言ってみろ。さあ!」 男は再びぱちゅりーの頬をすりすりしながら、ぱちゅりーを促した。 「……ゆ」 よぉし! 言えよ! 言っちまえよ! そして俺に饅頭を食わせろ!! 「ゆっくり…………………………………………しねぇ!!!!!」 「は?」 ぱちゅりーは普段とは似ても似つかないような鬼気迫る表情で男に体当たりをかました。 予想外の行動に、思わず尻餅をついてしまった男。 ぱちゅりーもまた、ぽてっと床に落ちてきた。 「え? ……なんで?」 「むきゅう! このおばか! わからずや! ぱちぇはけっこんなんかしないの!! きゅ……むぎゅぅぅ〜! むぎゅぅぅ〜!」 そう叫ぶなり、床に突っ伏してひたすら泣き始める。 「……そんなに嫌なのかよ」 子供を作りたくないゆっくりがいるなんて、さすがに知らなかった。 饅頭とはいえ一応は♀だ。繁殖を無理強いするのは気が進まない。 あーあ、また新しいの買わなきゃ…。 「わかったよ。悪かったよ。お前がそんなに結婚嫌いだなんて知らなかったんだよ」 ぱちゅりーの嗚咽は止まらない。 「もういいよ。もう言わないからさ。今日から自由にお前の好きなところに行って、好きに生きなよ。な?」 「むぎゅ……。ぱちぇを、そとにだすの?」 「ああ。狭いケースの中じゃなくて、外の広い世界で自由に生きろ」 「…………う…むぎゅうぅぅぅぅぅ」 ぱちゅりーはまた泣き始めた。 なんで…? 「むっぎゅーん!! このどんかん! にぶちん! ぼくねんじん! ぱちぇがこんなにおもってるのに、どおしてきづかないのよ!!」 「は?」 「ぱちぇは…ぱちぇは…むぎゅ…たすけてもらってうれしかったのに! ぱちぇのなまくりぃむなめて、あまいっていってくれたのに! むぎゅうぅぅぅぅぅぅぅ…!!」 …いやいやいやいや。 …まさかそう来るとは思わなかった。 男は初めてぱちゅりーが結婚したくないと言う本当の理由を知った。 「なあ、ぱちゅりー」 男はぱちゅりーの頬に触れ、優しく話しかけた。 「むぎゅぅ…………ぱちぇってよんで」 「じゃあ、ぱちぇ」 「むきゅ……なぁに?」 「たった一晩優しくしてもらったぐらいで、つけ上がるんじゃねぇよこのメスブタが!!」 「む……きゅ……?」 一瞬混乱して、目を白黒させるぱちぇ。 「鈍感だと? 鈍感ななぁてめぇだこのボケがっ」 「むぎゅっ!?」 「俺の目的はな、饅頭だ饅頭! 特に餡子ぉ! れいむとお前を一緒に持ってきたのは、お前らを繁殖させて毎日美味しい饅頭を食うためだ」 「そんな……あかちゃんを……」 「そうだ。お前のクソガキだ。できれば内緒でこっそりゴチになろうと思ってたんだ。そうすりゃ俺も幸せ。子供作ってお前も幸せ。 だけどもうそんなの関係ねぇ! さぁ、四の五の言わずにガバッチ!!」 男は右手にぱちゅりーをつかみ、左手には茶碗にハマって動けなくなっていたれいむをつかんだ。 「ゆゆ!? おにいさん、ありが…」 そして、ぱちゅりーを仰向け、れいむをうつ伏せにして重ねると、猛烈な勢いでこね回した。 2匹のやわらかい体が粘土のように形を変えていく。 「ゆびっ! ゆげっ! やべで! ゆっぐじ! やべでね゙!」 「むぎゃん! いやっ! やだっ! やだぁ!」 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」 「ゆぐっ! ゆふぅ! れっ、れいむ! きもち! よくなって! ……」 「むきゅきゅっ! こんなの! ぜったい…! ……っ!」 上半身の筋肉が悲鳴を上げるまで高速マッサージを続けた男は、バッと2匹を放った。 「ゆゆぅ〜ん♪ ぱちぇ! ぱちぇ! きもちいいよぉ! れいむといっしょにすっきりしようね!!」 「むっきゅう! むぎゅうん! やめてっ! こすりつけないでぇ!」 れいむはすっかり発情していたが、ぱちゅりーは本当に気持ち悪いらしく拒絶をうったえている。 一生懸命れいむを振りほどこうとするぱちゅりーだが、餡子れいむと生クリームぱちゅりーとでは体重差がありすぎる。 「ゆふぅぅぅっ…ぱちぇのおはだすっべすべ! ぺーろぺーろ、ぺーろぺーろ」 「むぎゅっ…む……むぎ…ゅ……」 ぱちぇはれいむに押さえつけられ、なすすべもなく頬から髪から全身を舐め回されていた。 そして、れいむの熱い舌がぱちゅりーの口の中へ入ってくる。 病弱で力の無いぱちゅりー…。組み敷かれてすでに体力を失い、れいむにされるがままになっている。 「んふおっ! んほおっ! すっきりしちゃうぅ!!にんっしんっさせちゃうよ!!」 「むぎゅ……む……」 「でいぶっ…ぱちぇがはじめてだよ! にんっしんさせるのもはじめてだよ!! でいぶのこどぼ! ゆっぐりうんでねぇ!!」 「…………」 「い゙ぐっ…い゙ぐよ゙お゙!? っんほおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉおぉおぉすっきりーーーーーっ!!!!!!」 思いきりすっきりしたれいむは、もう何と形容すべきか、憎らしいほど輝いた笑顔で天を見上げた。 れいむは生涯初の"すっきり"に感激して、滝のように涎を垂らしながらニヤニヤしている。 ……交尾を終えたゆっくりって、みんなこんな顔しかできないのか? ぱちゅりーのほうは、れいむの唾液と粘液でできた海の真ん中でぐったりと横たわっている。 すっきりもしていないようだ。 なんだかヤリ捨てられた感MAXだ。 「ゆへ…ゆへへへ…ぱちぇ、きもちよかったよぉ。もういっかいしようねぇ」 れいむはニヤニヤしながら再びぱちゅりーの背後から覆いかぶさると、へこへこと体を振りだした。 ここでぱちゅりーに死なれてはたった1度の繁殖で終わってしまうので、男はれいむに手を伸ばした。 つまみ上げられたれいむは、空中でへこへこ体を振っていた。 振動に合わせてれいむの体の粘液が糸を引いてボタボタ落ちて、ぱちゅりーの顔にかかった。 「ゆっふ…ゆっふ…ゆふぅ…!ぱちぇ…ぱちぇ…どこいったのぉ!?」 すっきりの直後で朦朧としているのだろう。 れいむはぱちゅりーの体を探してすっきりしようと、激しく体を振る。 「きたね!」 男はネチョネチョするれいむの体を放り投げた。 「ゆふぅ…れいむおそらをとんでぶゅぎゅっ!!!」 れいむは壁に当たって、ツツーッと粘液の糸を引きながら床に落ちた。 そしてしばらくウロウロしていたが、落ちていた茶碗を見つけると、早速体をこすりつけ始めた。 「ゆひょお!? ぱちぇにもこんなにかたいとこあったんだね!!」 硬い物は刺激と快感が強くなるのか、れいむは茶碗をぱちゅりーだと思い込んで、一人で嬌声を上げていた。 「ぱちぇ」 「…………」 額から茎を生やしたぱちゅりーは、どこか遠くを見ている。 「ぱちぇ」 「むきゅ…そのなまえでよばないで」 ぱちゅりーは冷たい声で言った。 粘液にまみれて乱れた髪。こすられて赤く腫れた体。そして涙。 ぱちゅりーは心も体もグシャグシャだった。 「おにいさん…。ぱちぇ、おねがいがあるの」 「なんだ?」 「うまれたあかちゃんのかわりに、ぱちぇをたべて」 「……!!」 「おにいさんにたべてもらいたいの」 「…………どうして?」 「むきゅぅ…。だって、ぱちぇは…いまでも……」 ぱちゅりーが選んだのは、赤ちゃんを助けて、なおかつ自分の想いも貫く唯一の方法だった。 裏切られても、想いが届かなくても、ぱちゅりーは一途だった。 男は心を打たれてしまった。 そう、うっかりと。 「…わかったよ。お前の赤ちゃんはたべない」 「むきゅ…おにいさん、ありがとう」 「でも、お前のことも食べない」 「むむ、むきゅ!?」 ぱちゅりーは恐れた。また裏切られるのでは…と思ったようだ。 「赤ちゃんは食べない。そしてお前も食べない。お前には長く生きてもらう」 「???」 「だってお前、ここに連れてきたばかりだからな。一日やそこらで死なれてたまるか」 「!?むっきゅ……」 生かしておくのは単にぱちゅりーの値段が高かったから…という理由だが、ぱちゅりーはまたしても勘違いして赤くなった。 一方、男はタカをくくっていた。 こんな約束、どうせ物覚えの悪いゆっくりのことだ。2〜3日経てばすっかり忘れてむきゅむきゅ言い出すだろう。 だが… 「むきゅ! おにいさん! 約束したでしょ!?」 「の゙!?」 数日後、ぱちゅりーの茎についた子供をつまみ食いしようとしたら怒られた。 男は知らなかったが、ぱちゅりー種は思いのほか記憶力が良かった。 あんな約束しなきゃよかったと後悔したが、あとの祭りだった。 男は饅頭を食いそこなった。 つづく ~あとがき~ れいむ×ぱちゅりー珍しそうなので書いてみた。 読んでくれる人、スレに感想までくれる人ありがとね。 まぢヘブン状態!! それと、ありすはカチューシャだって教えてくれた人サンクス。 たしかにリボンじゃないね/// またね〜。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2954.html
「れ、れいむ!!ま、まりさとずっといっしょにゆっくりしてほしいんだぜ!!」 「ゆゆっ!?れ、れいむもまりさとずっといっしょにゆっくりしたいよっ!!」 ゆっくりが棲むどこかの森の昼下がり、新たな番が誕生した瞬間だ。 巣が隣同士で幼いころから一緒に遊んでいた二匹が惹かれあうのは当然の流れであり、 また双方の両親、姉妹も反対することなどなく心からの祝福を受け 二匹は最高に幸せだった。ゆっくり視線で見れば最高にゆっくりとした夫婦であった。 翌日、二匹は両親の元を離れ、離れたところに新たな巣を作る事にした。 せっかく夫婦になっても二人だけのおうちがないとゆっくりとして様にならないし、子作りすらできない。 そのため、二匹は今の巣から離れたところに新たな巣を作った。 崖を掘って作った巣であり、ゆっくりにしては多少天井が高く、人間でも屈めば入れるぐらいだ まりさが生まれてきた赤ちゃんが飛び跳ねて天井にぶつからない様にと高くしたのだ 冬越しの際に入り口塞ぐのに苦労するのが目に見えていたが、きっとその時にならないと気づかないのであろう 二匹はようやく完成した自分達の新たなおうちにご満悦だ。 「ゆ〜、とってもひろくおおきなゆっくりできるおうちになったね!」 「ゆゆ〜、まりさががんばってくれたおかげだよ!!すてきだよまりさ!!」 「ゆゆ〜ん、そんなにほめられると、てれちゃうんだぜ!!」 「「す〜り、す〜り♪」」 お互い頬をすり合わせての愛情表現をする。 「がんばったらおなかがすいたね!ゆっくりごはんにしようね!」 「そうだね!ゆっくりごはんにしようね!」 二匹は近くで芋虫やおいしい草などお腹一杯まで食べると、運べる分だけの食料を巣の中へと持ち帰り貯蔵する事にした。 そして日は暮れ、夫婦になり初めての夜になった。 「「す〜り、す〜り♪」」 最初はただの愛情表現のすりすりだったが、まりさが緊張した面持ちでれいむに思いの丈を告白する。 「れ、れいむっ!ま、まりさは!そ、その!れいむとすっきりしたいんだぜっ!!!」 「・・・れいむもまりさとすっきりしたいよ」 れいむは顔を赤面させながら消えそうな声でそう答えた。 恥ずかしさから互いに顔が真っ赤になりつつも、すりすりを再開しはじめた 次第に汗とは違う粘着質な液体が二匹から分泌されはじめ・・・・・ 「「すっきりーーーー!!!!」」 程なく初めての交尾は終了した。 れいむの頭にはにょきにょきと一本の太い茎が育ちはじめ、まだ種類のわからない実が実り始めた。その数は5匹といったところか 「「まりさとれいむのかわいいあかちゃんたちゆっくりそだってねっ!!!」」 長い間一緒だったゆっくりと夫婦になり、かわいい赤ちゃんもでき、これからやってくるゆっくりとした未来に心躍らせうっとりとした表情の二匹。 その時だった 幸せ絶頂の二匹に舞い降りてきた悪魔が現れたのは・・・ 「う〜♪たーべちゃうぞ〜♪」 「「ゆげー!?れ、れみりゃーだぁぁぁぁぁぁ!!!!」」 逃げるにもここは巣の中逃げ道はれみりゃに塞がれている、さらにすっきりした直後で体力が残ってない二匹はまだまともに動けない れいむに至っては植物形にんっしんしてしまってるわけで状況は絶望的である。 れみりゃ逃げない饅頭に気を良くしたのかいつもより笑顔のまままりさを掴みあげた。 「うっう〜♪うまそうなあまあまなんだどぉ〜♪いただきますなんだどぉ〜♪」 「いやぁぁぁぁぁ!まりざをだべないでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「やべでぇぇぇぇぇ!ゆっぐりやべでぇぇぇぇぇぇ!!!」 そんな声でれみりゃがやめるわけもなく、まさにまりさにかぶりつこうとした時だった 「や○いー!!!俺だー!!結婚してくれーーー!!!!」 「うっう〜?――――うぎょぼ!?」 「ゆぎぃ!?―――ゆぼっ!」 まりさを持ったれみりゃが後ろから来た何かに腰を掴まれ、その何かが来たの勢いで体がくの字に曲がりさらに天井に頭を擦り付けられて 帽子はおろか髪の一部も剥ぎ取られながらぶっとんだ。巣の中に土ぼこりが舞い上がる 持たれていたまりさもその勢いでふっとばされ巣の壁に激突したが、幸い痛みで動けないぐらいで致命傷にはならなかったようだ。 れみりゃの方は痛みと衝撃で気を失ってしまった。 土埃が収まりつつ、その何かの正体が明らかになる。 その何かは人間だった。土ぼこりの性で咳き込んでいたが掴んだれみりゃを見て彼はこう言った。 「くそっ、うっうー!って声がしたからてっきり○よいかと思ったのにまたれみりゃかよ!」 「「だ、だずげでぐれでありがとうございまずぅぅぅぅ!!!!」」 男はただ単に間違えてれみりゃに突っ込んだだけだったのだが、この二匹から見れば窮地を救ってくれた救世主なのだ いつもはすぐに図に乗るゆっくり達であったが、この二匹は心の底からこの人間に感謝した。 男はなんだかよくわからなかったが感謝の言葉を続けられて悪い気はしない、そしてその後の説明で事情を理解した。 「じゃあ、またこいつが来ても平気なようにこれ置いてってやるよ。」 「ゆゆっ?おにいさんそれはなぁに?」 男が出したのは大きい透明な箱一つと小さい透明な箱5つだった 大きい透明な箱は蓋の部分に丸く人間の拳程度の穴が開いており、また正面の部分と反対の面にも同じく人間の拳程度の四角い穴があけられていた。 そして小さい透明な箱の方は蓋の部分に小さい穴が開いるだけだった、 「これはな、ゆっくりの赤ちゃんとその母体をれみりゃとかから守る箱なんだよ。」 「「ゆゆっ!?ほんとうに!?それはとってもゆっくりできるね!!!」」 「あぁ、まってろ、今つけてやるからな。」 男はまず大きい透明の箱の蓋を外し、中にれいむを入れる、そしてふたの穴に茎を通し蓋をする そして茎に実った赤ゆっくり一匹ずつに小さい透明な箱をつけてゆく。まだ実ったばかりの あっという間に茎と茎周りと口しか露出していない箱入りれいむになった。 箱の方はかなり軽く、れいむもこれといった負荷を感じていない様だ。 「ゆゆー!すごくかっこいいよれいむっ!!」 「ゆっ?ほんと?なんだかすごくゆっくりできるきがするよっ!!」 「おにいさん!まりさのは!?まりさのはないの!?」 「お前は、こいつらのご飯を取ってこないとだめなんだから箱に入ってたら取ってこれないだろ?」 「ゆー、ゆっくりりかいしたよっ!!」 自分だけ何も無いのがちょっと悔しい様だったが、れいむと子供達のためと理解するとまりさは我慢した。 「あー、あとこの箱入ってると下すら向けないから、ちゃんとまりさがご飯を食べさせてやるんだぞ?」 「ゆっ、ゆっくり理解したよっ!」 「それじゃあまたな!ゆっくり達者でな!」 「「ゆっくりまたねっ!!ありがとうねっ!!」」 男は伸びたれみりゃを引きずりながら帰っていった 「いろいろあってつかれたねっ!きょうはもうゆっくりやすもうねっ!!」 「そうだねっ!ゆっくりやすもうねっ!!ゆっくりおやすみなさいだよまりさっ!!」 「ゆっくりおやすみなさいれいむっ!!す〜りす・・・」 おやすみの挨拶をし、おやすみのすりすりをしようとまりさがれいむに近づいてやっと気づく 透明の箱に阻まれてすりすりできないことに・・・ 「「どぼじですりすりでぎないのぉぉぉぉぉぉ!?」」 結局すりすり出来ない事に涙しながらその日は眠る事になった。 翌日。 「「ゆっくりしていってね!!」」 挨拶の後、おはようのすりすりが出来ずにまた涙しながらまりさは今日のご飯を取りに狩りに出かけていった またあのお兄さんに会ったらどうにかしてあの透明な箱を外してもらおう、すりすりできないのは新婚の二人にとっては かなりゆっくりできないことの一つだ。 まりさはそのため、普段よりもかなり遠くまで狩りに出かけてしまった。 一方家に残されたれいむは今朝まりさが箱に投げ入れてくれた昨日のご飯を食べながらゆっくりと過ごす にんっしんしてからゆっくりはあまり動く事がないので基本的には箱の中でも問題ないので、すりすりできない事以外は気楽なものだ すでに、朝ごはんを食べていたらすりすりの事など忘れてしまって、茎に実った赤ちゃんに歌を歌ってあげていた。 「ゆゆ〜♪ゆゆゆ〜♪ゆ〜ゆ〜♪ あかちゃんたちゆっくりおおきくなってねっ!!」 その声に反応したのか知らないが、茎のゆっくりが少し揺れたように思えた。 れいむはすべての嫌な事を忘れてとてもゆっくりとした時間を過ごしていた。 日も傾き始めそろそろれみりゃ達も活動を始めるぐらいの時間に帽子と頬に限界まで餌を詰め込んだまりさが帰ってきた 「ゆっふりふぁえったほぉ!!」 「ゆっくりおかえりなさいっ!!」 まりさはれいむの箱に頬に詰め込んだご飯を吐き出し帽子にしまったご飯は貯蔵庫へしまい、れいむの食べる様子と赤ちゃんの様子を伺いながら まだ頬に残っていたご飯を食べ、れいむと一緒にゆっくりと過ごした。 「れいむ!すりすりできないならちゅっちゅしようなんだぜ!!」 「ゆっ!?それはめいあんだね!!ちょっとはずかしいけどまりさとならいいよっ!!」 「「ちゅっちゅ〜♪」」 ある種の人がみたら吐き出すか即踏み潰しそうな光景であったが、れいむとまりさは昨日からすりすりできなかった分も合わせて 思う存分ちゅっちゅした、その結果ただの愛情表現だったはずなのだが、またしても二匹はすっきりしたい衝動を抑えられない状態に陥ってしまった その結果・・・ 「「ずっぎりじだいのにすりすりでぎないよ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!!!!」」 あぁ悲しいかな餡子脳、寸前の事でも平気で忘れてしまう だが変なところはしっかり覚えている餡子脳、まりさはれいむが入ってる透明な箱の後ろ側に穴が開いてることを覚えていた 「な、ならまりさのぺにぺにをれいむにぶちこむんだぜぇぇぇ!!」 「な、なんでもいいがらずっぎりざぜでぇぇぇぇ!!!」 見苦しい程に発情してしまった二匹はもうすっきりの事しか考えられず、 このままお預けされたままなんておかしくなってしまう!と言わんばかりにまりさはれいむの後ろに回りこむ 幸いにも後ろの穴は大きく開いており子ゆっくりぐらいなら通れるサイズだ、これなら余裕で交尾ができる まりさはれいむの後ろ側に回り込むとまだ使った事のない自分のぺにぺにをれいむのまむまむに勢い良く突っ込もうと体を押し当てた が・・・ 「な・・・な・・・な、な、なんでぺにぺにがとどがないのぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!?!?!?!?!?」 まりさの「それ」はれいむに大して親指一個分足らなかった 「はやぐずっぎりざぜでよぉぉぉぉぉ!!!」 「ずっぎりじだいのにどどがないんだよぉぉぉぉ!!!!」 「「ずっぎりじだいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」 結局その日はすっきり出来ず泣き叫び続けたのだった まだ成体成りたての若い二人にはすっきりの有無は死活問題である、まりさがれいむに愛想を尽かすにはそれ程日はかからなかった とある日の狩りから帰ってきたまりさはれいむの入ってる箱に餌を入れるとこう切り出した 「もうまりさはげんかいだよ!!すっきりできないれいむとなんてもうゆっくりできないよっ!!!」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 「もうれいむなんてしらないよっ!!まりさはほかのゆっくりとゆっくりすっきりするんだよっ!!!」 「ばりざがいないどでいぶがごはんたべれないでしょぉぉぉぉ!!!」 「そんなことしったこっちゃないんだよっ!!!れいむはそこでずっとゆっくりしててねっ!!!!」 「ばりざのばかぁぁぁぁぁ!!!!れいむはうごげないんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 まりさは言いたいことを言うとれいむに気を止めることもなく、新たなゆっくりを求めその巣を後にした もう二度とれいむの前に戻ってくる事はないだろう それは箱に閉じ込められて自分では動く事のできないれいむと赤ちゃんの死を意味していた ゆっくりながらすべてを理解し一人悲しみに暮れ、れいむは涙していると頭に何か違和感を感じた 「ゆっ!?あかちゃんゆっくりうまれるんだねっ!!」 れいむの茎に実った赤ちゃんが一斉に揺れ始める、しばらくぐらぐらと揺れていたかと思うと皆一斉に茎から離れ重力に任せ落ちていった 赤ちゃんが生まれて一番最初にすることは元気な挨拶だ、当然親であるれいむもすぐに返してやろうと今か今かと待っている だが、生れ落ちた赤ちゃん達は一向に声をあげるどころか、動きもしない れいむは心配になり本来赤ちゃんからの「ゆっくりしていってねっ!!」を待つのだが、自分から声をかけた 「ゆっくりしていってねっ!!」 「・・ゆっ・・・ね」 かすかに返事をしているのだがれいむには聞こえなかった。様子を見たくても自分では近づく事もできないれいむはただ不安になるばかりだ 赤ちゃんが動かず返事もしない理由、それはお兄さんが入れた小さい透明な箱にあった 本来実り、赤ちゃんサイズになるまでにその丸い形を維持したまま成長をしていくゆっくりだったが お兄さんが小さい透明な箱にいれたため、丸い形に成長できず箱の形、小さい正方形のまるでサイコロの赤ゆっくりになってしまったのだ 本来柔らかい皮で覆われている筈の肌も、箱型に固定されるが故、成体のゆっくりよりも硬い皮になり 顔の部分も硬くなってしまったため、口を動かす事もできず満足に声もあげれない、足の部分も同様に硬化してるので自分では動く事もできないだろう しかしれいむはその事に気づけることもなく、形も変形していることに気づけなかった 気づいてもきっと箱から出たら元に戻るだろうぐらいにしか思えなかった。 「どぼじでおへんじじでぐれないのぉぉぉぉぉ!!!」 「おー、ようやく生まれたか。そろそろだと思ってたんだがタイミングぴったりだな」 「ゆゆっ?おにいさん!はやくれいむをここからだしてねっ!!」 あの時のお兄さんだ、きっと子供が生まれたお祝いを持ってきてくれたんだろう、この箱の性で全然ゆっくりできなかったんだから お祝いとお詫びをたっぷり貰わなければ到底割りに合わない、れいむは迷わずにそう思った 「しっかし、ものの見事に正方形になったなぁ・・・」 「ゆっ?おにいさん、なにをいって・・・?ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」 れいむは目を疑った、箱から出された赤ちゃんが全部丸みの無いとてもゆっくりできそうにない正方形なのだ しかもみんな苦しそうな表情を浮かべたままピクリとも動かず、短く「ゆ゙っ゙」と鳴いている 「ゆげぇぇぇ!!!」 「おいおい、自分の子供みて餡子吐き出すなよ。かわいい我が子だろ?」 「なんでぞんながだぢになっでるのぉぉぉ・・・ゆげぇぇぇ!」 「おーおー、そんなにショックだったか、じゃあ真相を教えてやるよ。」 「ゆ゙っ゙?しんそう・・・?」 「お前が入ってるその箱とこの赤ちゃん達が入ってた箱な、これ加工場の試作品なの。 んで、俺はその加工場の技術研究の人。お前達は俺の実験につき合わされたんだよ この箱で成長とサイズを制限して赤ゆっくりをみんな固定のサイズにする、するとどうなると思う? サイズが皆一様に一緒になるから製品として梱包しやすくなるんだよ。そして生まれる前から狭苦しい箱に苦しめられてるから餡子の甘みが増す、 後はこの堅さとこの状態でどのくらい生きてられるかが問題だな、このまま歩い程度生きてられれば生きたままのゆっくりが食べれるって売りにできるし 硬さも普段の饅頭と変わらないならそれでいいし、煎餅みたいな硬さだったらそれも状況しだいで売りにできるしな。」 「ゆ゙っ・・・?おにいさんなにを・・・いってるの・・・?」 「一気に言い過ぎてわからかったか、様はお前は踊らされたの、騙されたんだよ俺に」 「ゆ゙っ゙!?じゃあ!じゃあ!あのれみりゃからまもってくれたのもうそなの!? まりさとすっきりできなかったのも!まりさがでてっちゃったのも!おにいさんのせいなの!?」 「ようやく理解したか、大体ここら辺にれみりゃ住んでないんだから最初から気づけよって話だけどな すっきりできないのもその箱の仕様だ、実験の最中にまた子供作られたらたまったもんじゃないしな。 なんだまりさの方は出てったのか、すっきりできなけりゃ用なしか、流石まりさ種だな(笑)」 「どぼじで!どぼじでごんなごとずるのぉぉぉ!!!」 「そりゃ、俺が加工場の人間で、お前がゆっくりだからだよ。さて話が長くなったが肝心の味のほうはどうかなっと」 お兄さんはパクリと赤ゆっくりを食いちぎりる、「ゆ゙っ!」という赤ゆっくりの短い悲鳴が聞こえた 「うむ、中々良い味だ。これなら味の問題はなさそうだな。」 「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!ごろずっ!ごろじでや゙る!ごの゙じじい゙っ゙!!!」 「おお、こわいこわい。まぁそう怒るなよ、これから長い付き合いになるんだから・・・ 加 工 所 で な。」 「加工所はい゙や゙だぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」 その秋、加工所から「ゆっくりサイコロ饅頭」という新製品が発売された。 おわり あとがき 名乗るのやめた
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/998.html
注意書き 俺とゆっくりの話 と、ほんの少し関係がありますがたぶん知らなくても大丈夫だと思います。 バッジ設定があります、詳しい設定については「俺とゆっくりの話 1」を読んでください。 タイトルのとうり、人間はゆっくりを愛でてます、でも虐待成分もありますし、そっちがメインだと思っています。 そんなわけで飼われているゆっくりがいます。 また、多少人間虐めな部分もあります。 そして頻繁に視点が移り変わっています。たぶんかなり読みにくいとは思いますが許してください、ごめんなさい。 オリジナルキャラがいますが、名前はないので親子間でも「お母さん」「娘」などと呼び合っています。 「おかぁさん、れいむとちぇんはあした、ほかのひとにもらわれていくんだね?」 「そうだよ、きっとそのひともおにいさんみたいにやさしいひとだからゆっくりいうことをきいてね」 「わかるよー!ちゃんということきいてゆっくりするよー!!」 俺の飼っているゆっくり達が寝床として用意した小屋の中で会話しているのが聞こえた。 彼女(?)らの言う通り、明日子れいむと子ちぇんは近所に住む人の所にもらわれていく。 俺がゆっくり達と「れいむ一匹とちぇん一匹以外はみんなペットショップか他の人に引き取ってもらう」という約束をしたからだ。 今はれいむとちぇんを飼っている俺だが、その子供全員まで面倒を見る余裕がないことをれいむとちぇんは理解していたし、 生まれたばかりの赤ゆっくりも最初は泣き叫んだが、親の賢明な説得の結果、自分が貰われることを承諾し、それまでの間精一杯親とゆっくりしようとしている。 今までも何匹かの子ゆっくりが他の他人や友人に引き取られていった。前の飼い主や親ゆっくりに会うとホームシックみたいな症状が起きてしまうことがあるので、 様子を見に行くことはできなかったが飲み屋で会った友人宅のゆっくりはちゃんと彼のいうことを聞いているらしい。 当然だ、何のために自分が育てる予定のない赤ゆっくりにまでシルバーバッチを持たせたと思ってるんだ、飼い主がちゃんとしていれば悪いゆっくりに育つはずがない。 次の日、子れいむと子ちぇんは少し離れた所に住む女性とその娘に引き取られていった。 父親は仕事で帰りが遅く、女性もたまに夜遅くまで出かけて行くことがあるらしい。昼の間娘がさみしい思いをしないように…とゆっくりを飼おうとしたんだそうだ。 とりあえず娘が親ゆっくりや子ゆっくり達と遊んでる間に女性に簡単な買い方の説明をする。 飼い方といっても基本的な躾についてはたぶん問題ないだろうが、ゆっくりにあまり触れない人にとってゆっくりは未知の固まりだ、お勧めの飼育書の紹介して、 買って読んでくださいねと言った。女性も 「あら、そんな本があるのね…じゃあ帰りにでも買っていこうかしら?」 と言ってくれた。これで買ってくれないと困る、ゆっくりに限らずペットを飼うのは大変なのだから。 最期に二人は俺にお礼を言ってから家を出て行った。 夕日に照らされた少女の腕に抱かれて頭をなでられる子れいむの顔を見て、俺もこの人たちならきっとゆっくり育ててくれるだろうと思った。 あれ?あっちに本屋ってあったっけ? 妹のちぇんと一緒におねーさんに運ばれて15分ほど移動した。 お兄さんの家より大きい家に着くとおねーさんが「きょうからここがあなたたちの家よ、ゆっくりしていってね!」と言ってくれた。 「ありがとう!おねーさん!!おねーさん!!ゆっくりしていくね!!」 「きょうからここがおねーさんたちとちぇんたちのいえになるんだねー!!わかるよー!!」 「いやぁね、この子たちは、今日から私のことはお母さんって呼んでくれていいのよ?お姉さんなんて呼ばれたら逆にくすぐったいじゃない?」 おねーさんのおかーさんが笑いながら言った、自分たちのお母さんはれいむお母さんとちぇんお母さんだけど、この家でゆっくりする以上 お姉さんのお母さんはれいむたちにとってもお母さんなんだと思った。 「わかったよ!!きょうからよろしくね!!おかーさん!!」 「よろしくね、さて、今日はれいむちゃん達が来たお祝いをしなくちゃね、晩御飯の準備をするから娘と遊んで待っててね」 「ごはん!!わかるよ!!ゆっくりまってるよー!!」 「ゆっくりつくってね!!おねえさん、ゆっくりあそぼうね!!」 「うん!じゃあ付いて来て、私の部屋に案内してあげる!!」 お姉さんに連れられてお姉さんのお部屋にきた。 お姉さんはニッコリ笑いながられいむとちぇんの頭をなでてくれた。 「ゆ、ゆ、ゆ~っくり~」 「ゆっくりできるよ~わかるよ~」 「あはは、かわいい!!」 さいしょはお姉さんの話を聞いていたり、お歌を歌ってもらったりしていたのだが、お姉さんは途中からちぇんの尻尾を触り始めた。 「ゆゆっ!?」 「あはは、ふさふさして気持ちいい~!!」 「ゆゆゆゆ、や、やめてよ!ちょっといたいんだよ!わかってね!!」 「キャハハ、ほら、クリクリ~」 さらにそのままちぇんの尻尾と尻尾をこすり合わせて楽しんでいる 「い、いたいよー!!ゆっくりやめてね!!」 「おねえさん!!れいむのいもうとがいたがってるよ!!ゆっくりやめてね!!」 「えー?ふさふさして気持ちいいのに…じゃあれいむであそぶ!!」 「ゆっくりあそんでいってね!!」 あの後、ちぇんちゃんのしっぽに何度か触ろうとしたけど、れいむちゃんは怒って触らせてくれなかった、ふさふさしてて気持ちよかったのになぁ… 尻尾に触れなかったので、頬を突いたり、軽く転がしたりして遊んであげた、れいむちゃんも、ちぇんちゃんも笑ってくれたので、楽しかったみたい。 また尻尾に触りたいけど、ちぇんちゃんに嫌われるのは嫌だから触らないで上げよう。 「ちぇんの尻尾には触れないようにしましょう ちぇん種の尻尾は非常に敏感で、強く握ったりするとゆっくりに激痛が走ります、また若い個体れあれば少し触れただけでも強い刺激になるのでちぇん種を飼育する場合は注意してください」 民明書房 ゆっくりの飼い方 第4版より抜粋 お姉さんといっぱい遊んでいるとお姉さんのお部屋の外からお母さんの「ごはんよ~、はやくおりてらっしゃ~い」という声が聞こえた。 お姉さんに抱っこされて、ちぇんと一緒にお台所に行く。テーブルの上にはたくさんのお料理が並べられていた、そのうちいくつかは 本当のお母さんやお兄さんと一緒に食べたことはあったけど、こんなにいっぱい並んだご飯は初めてだった。 「きょうはれいむちゃん達の来たお祝いにお母さん、たくさんご飯作っちゃったわ、いっぱい食べてね!!」 「いまれいむちゃん達の分もよそってあげるね!!」 テーブルの上に載せられ、前に置かれたお皿に盛られるたくさんのご飯、全部食べきれるかなと思ったけど、せっかくお母さんが作ってくれたんだから全部食べなきゃ。 「じゃあ、いただきます」 「いただきまーす!!」 「「ゆっくりいただきます!!!」」 いただきますの挨拶をして目の前のご飯を食べ始めた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~」 「おいしいんだね!わかるよー!!」 「あら、そう言ってくれるとお母さんも作ったかいがあったわ!!」 「とってもおいしいよ!!ゆっくりできるよ!!」 「おかあさん!おりがとうだよー!!!」 そんな話をしながられいむとちぇんはご飯を食べた、あまりの美味しさに気がついた時はまわりを汚しちゃってたけどお母さんは仕方ないと笑ってくれたし、 お姉さんはれいむとちぇんのお口を拭いてくれた。途中でおかあさんとお姉さんは難しいお話をしてた、何の話をしていたのかよくわからなかったけど、 お父さんという人は、今日帰ってくるのはとても遅くなるらしい、お姉さんのおとうさんなら、れいむたちのお父さん。今日のうちに挨拶したかったな… 「むーしゃ、むーしゃ、とってもしあわ…」 「もぐもぐたべるよー!!…」 ゆっくり、しかし激しく食事をするれいむとちぇん、しかしある料理を口にした瞬間、動きが止まり、白目をむいてガタガタと震え始めた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「ゆっぐりできない゛よ゛お゛ぉぉぉぉ!!!」 「ど、どうしたの?れいむちゃん、ちぇんちゃん!!」 「おがあざん!!このごはん゛は゛きら゛い!!ゆっぐりで゛き゛な゛い!!」 「ごめ゛ん゛ね゛!!でも゛こ゛れ゛だけ゛は゛の゛こ゛さ゛せ゛て゛ね゛!!」 「…だめよ、好き嫌いはいけないの、わかるわよね?」 「でも、でもぉ!!」 「ゆっくりできないよ!!!」 「嫌いなものでも食べないといけないわよ、ほら、半分にしてあげるからちゃんと全部食べなさい!!」 「お母さん…でもこの子たちの嫌がり方、すごいよ?」 「でもお母さんは好き嫌いは許さないわよ、あなたもピーマン、残さずに食べなさい。」 「はぁーい」 いま、お母さんは何て言った?「全部食べないといけない?」 そんな、あの食べ物は口に入れた瞬間、れいむの中身が熱くなっちゃうのに!?ゆっくりできないのに!? でも、お兄さんや、本当のお母さんは「ちゃんと、新しい飼い主の言うことを聞くんだよ」といった、だかられいむも、ちぇんもちゃんと食べなくちゃ、 お母さんのいうことを聞かないと 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「ゆ゛っく゛り゛でき゛な゛い゛ん゛だね゛!でも゛ち゛ぇん゛は゛ま゛け゛な゛い゛よ゛!!」 「がんばって食べるのよ!お母さん、応援するからね!!」 れいむちゃん達がいきなり叫び出した時、間違ってゆっくりにとって毒になるものでも入れたのかしらと不安になった。 でも確かにれいむちゃん達は「このごはんきらい」といった、そういえばゆっくりは雑食っていうし、人間が食べれるのにゆっくりが食べれないものなんてあるはずがないわよね? でも好き嫌いはいけないこと。私も母に嫌いな食べ物を残さず食べろと言われ、いくら泣いても食べ終わるまで許してくれなかったことが何度かある。 結局私はなんでも食べれるようになったから、母には感謝してる。れいむちゃん達も、きっといつか私に感謝してくれるはずだ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「ゆ゛っく゛り゛でき゛な゛い゛ん゛だね゛!でも゛ち゛ぇん゛は゛ま゛け゛な゛い゛よ゛!!」 「がんばって食べるのよ!お母さん、応援するからね!!」 正直、ゆっくりが嫌いな食べ物というだけでここまで叫ぶとは思えなかった、きっとあの飼い主さんが甘やかしすぎたのね。 「ゆっくりに辛いものは厳禁!! 基本的に人間が食べるものはなんでも食べれるほど雑食性の強いゆっくりですが、唯一辛いものだけは食べさせてはいけません。 辛いものは餡子でできたゆっくりの体にとって猛毒であり、子供のゆっくりならほんの少しのハバネロで即死することすらあります。 また、香辛料なども種類によっては毒となることもあるので、ゆっくりにご飯を上げるときは注意してあげてください。」 民明書房 ゆっくりの飼い方 第4版より抜粋 なんとかご飯を食べ終えたれいむとちぇんは母親に言われ、娘と一緒にお風呂に入ることになった。 「おねぇさん!れいむをゆっくりお風呂に入れてね!!」 「おふろだねー!わかるよー!!」 この気楽な饅頭についさっきまで毒を食わされてたんだぞ、と突っ込んではいけない。彼ら自身も辛いものが毒だということが分かっていないため、好き嫌いを直そうと自ら積極的に毒を食ったのだ。 れいむとちぇんはおねえさんといっしょにお風呂に入った。 人間って不思議、れいむも、ちぇんも、ゆっくりはあまり変わらないのに、人間は結構違う。 前に一緒にお風呂に入ったお兄さんにあったぶらぶらしたものが、お姉さんには見当たらない。 お姉さんがちぇんの頭を洗ってあげるのを見ている、れいむはそんな事を考えていた。 「はい、これでおしまい!!」 「すっきりさっぱりしたよー!!わかるよー!!」 そんなどうでもいいことを考えているうちにお姉さんがちぇんの頭を洗い終わったようだった。 「じゃ、お風呂にはいろっか」 「ゆっくりぃ~」 「わがるよぉ~」 「あはは、なにそれ、おじさんみたい!!」 れいむとちぇんにはお風呂は大きかったけど、お姉さんが用意してくれた桶の中に入るからゆっくり沈んだりしないよ! 「「ゆ~ゆゆゆ~ゆ~♪」」 れいむちゃんとちぇんちゃんが気持ち良さそうに歌を歌っていた。どこか音程のずれた、おかしな歌だったけど、それが逆に聞いてて楽しくなる、そんな感じがした。 「ゆっ!そろそろれいむたちはおふろからあがりたいよ!!」 「おねえさん!ゆっくりだしてねー!!」 歌を一曲歌い終わったと思ったらすぐにお風呂から上がりたいと言ってきた、まだ3分ぐらいしか経っていない、私はもっと入りたいのに。 「え~?私ももっと入りたいよ?それにすぐに上がっちゃうと湯冷めしちゃうよ?」 「ゆざめ?なにそれ?」 「もしかしてゆっくりできないの?」 「うん、とてもゆっくりできないよ」 「じゃあ、ゆっくりがまんするよ…」 「でも…このままお風呂に入っていてもゆっくりできなくなっちゃうよ、わからないよー…」 ほんと、ゆっくりってわからない、お風呂が大好きですみたいな事をさっきも言っていたのに、本当はお風呂、嫌いなのかな? このままお風呂に入っているとゆっくりできない、それはたしか本当のお母さんに最初に教えてもらったこと。 でも、すぐにお風呂からでると「YUZAME」になってゆっくりできなくなるってお姉さんは言った。 じゃあれいむもちぇんも、どっちにしろゆっくりできないの?どうすればいいの? 「お、おかあさーん!!」 「どうしたの!?何があったの!?」 「れいむちゃんとちぇんちゃんが溶けちゃったぁ!!」 娘がタオルも巻かずに飛び出してきたときはどうしようかと思った。だが、娘の持ってきた洗面器の中には黒い水が入っていてぶよぶよとした気味の悪いものが浮いている。 「おかぁ…さん…たすけてねー…」 「ゆっくり…したけっかが…」 私は急いで洗面器から二匹を取り出した。 「ゆっくりと水について ゆっくりは基本的にきれい好きな動物のため、子育て期などの特別な場合を除き、頻繁に水浴びをします。 飼いゆっくりの場合も少なくても三日に一度はお風呂に入れてあげましょう。別に毎日でもかまいません。 ですが注意点がいくつかあります。ゆっくりの皮は比較的軟らかいため、少し力が入っただけでもすぐ破けてしまいます。体や頭を洗ってあげるときでもできるだけ力を込めず、 手で表面を軽くこするように洗ってあげましょう。 次は入浴時間です。一般にはあまり知られていないことですが、ゆっくりは長時間水につかっていると皮が溶け、餡子が漏れ出してしまいます。 水の場合で約五分、お湯の場合で三分以上は濡らさないで上げてください。 もし、餡子が溶け出てしまった場合、すぐ自ら上げて体をタオルなどで優しく拭いてあげましょう。しばらく待って餡子の流出が止まらないようであれば重症です、ゆっクリニックに行きましょう。」 民明書房 ゆっくりの飼い方 第4版より抜粋 れいむとちぇんが飼われてから、三か月ほどたった。 結局れいむもちぇんも、たまに尻尾をいじられ、頻繁に出される辛い物を「すききらいはいけない」と、泣きながら食べた。 お風呂でふやけた時は症状が軽くて助かったが、あれ以降お風呂は一分ぐらいしか入れてもらえなくなった。 毎日毒を食う生活だった、だけど、れいむもちぇんも自分は幸せなんだと信じていた。 昔、本当の母親に言われた一言「飼い主さんのいうことをちゃんと聞いたらきっとゆっくりできるよ!」その言葉をずっと信じて居たため、 二匹は他の飼いゆっくりには見られない位に飼い主に従順なゆっくりになっていた。 通常、野生のゆっくりは4か月ほどで亜成体となり独り立ちする、辛いもの以外は栄養豊富な食べ物をたらふく食べたこの二匹はもう、成体のゆっくりとほとんど変わらない大きさをしていた。 そして人間でいえば思春期のゆっくりが二匹、同じところで生活している。そうすればどうなるか、答えは明確だった。 もうすっかり夜になった。 おかあさんも、おねえさんも、おとうさんもたぶん寝ているぐらいの夜。 自分もちぇんも多分こんな遅くまで起きた事はないと思う。でもなぜか、今日はれいむもちぇんも寝るに寝られなかった。 「おねえちゃん…」 「なぁに、ちぇん、ゆっくりはなしてね」 「ちぇん、なんだかおねえちゃんといっしょにいるとなんだかうずうずむずむずするんだよ…」 「じつはれいむもなんだよ…」 「れいむおねえちゃん…」 「ちぇん…」 お互い見つめあう二人、少しずつ近づいて行き、触れ合う肌 「んほっ!?」 「に゛ゃっ!?」 その瞬間、二匹に電流が走った 「な、なに、いまのは!?」 「わ、わからないよー!!」 生物的に成熟し始め、早すぎるすっきりで朽ちてしまうゆっくりが現れ始めるこの時期、野生なら親に、飼いなら飼い主に性教育を受ける頃だ。 だが、親にも飼い主にも性教育を受けていない二匹には何が起こったのかわからない、ただ、未知の刺激を感じた二匹の心は新しいおもちゃを見つけたような興奮を感じていた。 「わ、わからないけど…もういちどやってみるよ…」 「わかったよー、ゆっくりやってね…」 二匹が本能的に交尾を開始するまでにそんな長い時間はかからなかった。 今日も私はいつものように6時に起きた。ちぇんちゃんとれいむちゃんを飼うようになってから、朝起きるのが少し早くなった。毎朝朝ごはんの前にれいむちゃん達と遊ぶのがとても楽しい。 居間に降りてみるとれいむちゃんの姿が見えなかった、ちぇんちゃんが古新聞を居間の隅に積み重ねているのを見つける。 「おはよう、ちぇんちゃん」 「ゆっ、おはようなんだね、わかるよー!!」 「それで…何してるの?」 「お、おねがいするよ!!それをどかさないでね!!」 「だめだよ、ゴミを散らかすとお母さんに怒られちゃうよ?」 「わからないよぉー!!」 遂に泣き叫んでしまうちぇんちゃん、でも散らかったのをこのままにしておけないし…私はちぇんちゃんにごめんね、と言ってから積み重なった新聞紙の上の方をどかした。 「ゆゆっ、おねえさん、おはよう!!でもゆっくりしんぶんさんをもどしてね!!!」 新聞紙の山の中にはれいむちゃんがいてこっちを向いて挨拶をしてきた、でも、その頭には植物の茎のようなものが生えていて、それには8個くらい、ちゃっちゃいゆっくりが付いていた。 「…」 「ゆっ」 「お…おかぁさーん!!大変!れいむちゃんが!!」 「ゆっくりの性欲について ゆっくりはそのほのぼのした外見、生活からは想像しにくいですが性欲の旺盛な生物です。 ですが、若いゆっくりは交尾をすると疲労や子供に栄養を取られ死んでいしまうことがあるので対策をしっかり行いましょう。 生まれてから五か月~半年ぐらいでゆっくりは性欲を感じ始めるのでその前からゆっくりに性教育をしてあげてください。 内容はお互いが激しく体をこすり合わせることがすっきりであること、すっきりすると子供ができることがあること、若い時にすっきりしてしまうと死んでしまうことがあること、 この三つで十分です。ゆっくりは性に関することは割合速く覚えるため教育にあまり苦労はしないでしょう、成体のゆっくりと一緒に飼育しているならその個体に教育してもらうのも一つの手です。 また、性欲が解消されないとゆっくりは自慰行為に依存したり自傷行動を行ってしまうこともあるので、繁殖させる予定がない時は何らかの対策を立てる必要があります。 プロのブリーダーは定期的にゆっくりをすっきりさせてあげることがありますが、とても難しい方法なので去勢手術、避妊手術を行うことをお勧めします。」 民明書房 ゆっくりの飼い方 第4版より抜粋 娘の悲鳴で起こされたその日以来、なぜかれいむちゃんは新聞紙の山の中に隠れるようになり、ちぇんちゃんはれいむちゃんに新聞紙をかぶせ、その前に立つようになった。 今までこんなことはしなかったのにどうしたのかしら? さすがにゴミを散らかされると困るし、たまには日光浴もしないとれいむちゃんにも、あかちゃんにも悪いわよね? 「ゆっくりやめてね!!おかあさん、はなして!!かたづけないでね!!」 「だめじゃない、れいむちゃん、古新聞を散らかしちゃ?」 「でもそれがないとゆっくりできないよぉ…」 でも、言った時は新聞紙から出てくるけどまたすぐに新聞紙を散らかして二匹は中にもぐりこんでしまう、何度言ってもその時はいうことを聞くのに、何時間かたったらまた何かをちらかしてその中にもぐりこんじゃう。 そして新聞紙かられいむちゃんを取り出すと大声で泣き始めちゃう。 ちぇんちゃんが泣きながらないてるれいむちゃんに紙くずをかぶせてたけど何を考えているのかしら? れいむがにんっしんしてから何日かがたった。 ここ何日かずっと怒られてばっかりだ、もちろん悪いのはれいむたち、それは分かっているのに…頭に赤ちゃんができてからなぜか広いお家が怖くなってきた。 れいむはとにかく狭い所に入りたくて新聞紙という紙を散らかしちゃう。 お母さんやお父さんに怒られたから悪いことだということは分かっているのに…わかっているのに新聞紙の中に入りたくて、ちぇんにれいむを隠すようにお願いしちゃう。 ちぇんも悪いことだとわかっているのにれいむを隠すのを止められない。れいむたちは悪いゆっくりなのかな? なんで悪いことを止められないんだろう?今も夜でれいむとちぇん以外が部屋に居ない事をいいことにちぇんに新聞紙をかぶせてもらっている。 悪いことなのに、怒られるのに、それがわかっていて泣いてるのに。気がついたら新聞紙に隠れようとしている。 新聞紙や、周りのいろんなものをちぇんが集めている時、隣の部屋からお父さんの声がした。 「まったく、だから躾けられないならゆっくりなんか飼うなと言っただろう!!」 隣の部屋からお父さんの声が聞こえた。 「そんなこと言ったって、最初に飼いたいって言ったのはあの娘なのよ!あなただって飼って良いって言ったじゃない!?」 「それはお前が自分も躾を手伝うからと言ったからじゃないか!!あいつら、昨日は俺の仕事の書類まで新聞紙に混ぜて潜ってたんだぞ!!」 ごめんなさい、お父さん。ごめんなさい、ちぇんもなんでそうしちゃうかわからないんだよ!!でも今口にくわえているのはお父さんのお仕事の紙? あああ、悪いことなのに、悪いことなのに…この紙はここに置こうね、お姉ちゃん…わからないよ… 「まったく、だから軽い気持ちで生き物を飼うなと言ったのに…あいつらの子供が全部埋まれたらどうする気なんだ!?全部面倒を見る余裕は家には無いのは分かっているだろう!!」 「なによ!!自分はまったく関わろうとしない癖に悪いことがあったら全部私のせいにするの!?」 「そうは言っていないだろう!!」 ああ、なんでちぇんもれいむおねえちゃんもこんな怒られるようなことをしているんだろう、ゆっくりできないよ… はじめてお父さんに挨拶したときは笑顔で「娘と遊んでやってくれ」って言ってくれたのに…いまのちぇんたちはおねえちゃんとまったく遊んでいないよ…。 いつからだろう、こんなにゆっくりできなくなったのは、れいむおねえちゃんを隠したくなったのは… そうだ、わかる、わかるよ。こいつだ、れいむおねえちゃんにはえてるこいつらがでてきてからちぇんも、れいむおねえちゃんも、おねえちゃんも、おかあさんも、おとうさんもゆっくりできなくなったんだね。 わかる、わかるよ~、こいつらがいたから、ゆっくりできないんだね!!いまわかったよ!! その時、れいむから生えてた茎、それについていた実の一つが震えて地面に落ちた。 「ゆっ、ゆっくりちていっちぇね!!」 とっても純粋な笑顔で、虐待お兄さんが思わずつぶしたくなるような、ゆっくりから見れば天使のようにゆっくりした笑顔で赤れいむがそう言った時、ちぇんの中で何かが弾けた。 「ゆっくりしんでね!!ちぇんはゆっくりしたいんだよ!!」 ああ、今までゆっくりできなかったけど、ついにれいむとちぇんの赤ちゃんが生まれた、とってもゆっくりした赤ちゃん、天使のような笑顔で 「ゆっ、ゆっくりちていっちぇね!!」 とれいむにゆっくり言ってくれた。 「ゆっくりしんでね!!ちぇんはゆっくりしたいんだよ!!」 何が起こったのかわからなかった、目の前にはちぇん、その足元には丸く広がる何か…もしかして、ちぇんが赤ちゃんを? 「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉぉぉぉ!!!!」 「こいつらがいるからちぇんも、おねえちゃんも、みんなみんなゆっくりできないんだよ!!おねえちゃんはわかるよねー!!」 そうだ、れいむのあかちゃんが、あたまからでてきたとき、それかられいむはゆっくりせまいところにいきたくなってとまらなくなって、それでみんなにおこられるおうになって、ゆっくりできなくなったんだ。 じゃあこいつらがいなくなればれいむたちはゆっくりできる、このおうちにはじめてきたときみたいに、みんなでゆっくりするんだ!! 「ゆっくりおちろおぉー!!」 あたまをおもいっきりゆらしてあたまにはえたごみどもをかべにたたきつける、なんひきかは「ぶびゅ」とかいってつぶれた、ゆらしたことでうまれはじめたやつもいたけど、 そいつらはちぇんがかたずけてくれる。 「どうした、何があったんだ!!」 物音に気づいた父親と母親が隣の部屋から入ってきた。 彼らが見たのはまさに地獄絵図だった、あたり一面餡子で覆われ、れいむとちぇんが自分の子供を手当たり次第に叩き潰している。 「な、何をやっているの!?」 「ごみどもをつぶしてるんだよ!おかあさん、わかるよねー!!」 「よごしてごめんねおかあさん!!おとおさん!!あとでゆっくりあやまるからいまはだまってゆっくりみててね!!こいつらがいなくなればみんなゆっくりできるからね!!」 「れいむ!ちぇん!おまえたちは自分が何をやっているのかわかっているのか!?じぶんの子供を殺しているんだぞ!!」 父親が悲痛な叫びをあげた。 「なぁに、おとうさん、なにかあったの…?」 そして、娘が眠そうに目をこすりながら部屋に入ってくる。 「まっててね、おねえちゃん、こいつがさいごだよ!!」 「こいつをやればゆっくりできる!!わかる、わかるよー!!」 れいむとちぇんは最後の一匹の両頬を加え、思いっきり引っ張った。 「お、おかあちぁん、ゆっちゅり、ゆっちゅ、ゆぶべべっぇっっ!!!」 「「ゆっくりしねぇ!!」」 「ゆびゅ!!」 鈍い音を立てて最後の赤ちゃんが真っ二つになった。 「やった、やったよ、おねえちゃん、これでいっしょにゆっくりできるね」 「おとうさん、おかあさん、もうちぇんたちはおこられることはしないよ、ずっといっしょできるよ、わかるよ…」 れいむとちぇんが帰り餡子まみれのまま、光のない眼で娘に近づいてきた。 「い、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!」 深夜の人里に少女の甲高い悲鳴が木霊した。 「ゆっくりは本来、木の根元の空洞等に巣を作って生活する動物です、それは飼いゆっくりでも変わらず、ゆっくりだけの安全な空間を欲します。 巣への依存度はあまり高くはありませんが、それでも多少のストレスを感じることがあるので出来るだけ巣となる小屋などを用意してあげてください。 お金に余裕がなければ段ボールなどを使うのも一つの手です、とにかくゆっくり以外が入れない狭い空間を作ってください。 巣の掃除ですが、ゆっくりは基本的にはきれい好きなので特に必要ありません。ただ、異臭がするなどの異常がある場合は掃除をする必要があります。その時はゆっくりと一緒に掃除をしましょう。 成体のゆっくり、特ににんっしん中のゆっくりは非常に怖がりになるため巣に引きこもりがちになります。この時期のゆっくりは非常にストレスに敏感なので、 むやみに巣から出したりしないでたまに入口をのぞいてあげるぐらいにしてください。ご飯もこのときは入口の近くに置いてあげれば自分で食べてくれます。 ゆっくりが心の底から飼い主を信頼している場合はにんっしん中でも巣の中にいるより飼い主のそばにいることを望みますがそこまでなついてくれなかった時も無理やり可愛がろうとはせずに、 ゆっくりが自分から出てくるのを待ってください。この時期飼い主が巣を荒らしたり、子供が巣の外から丸見えなところに移動させたりすると強いストレスがかかり、最悪精神崩壊を起こして自分の子供を殺してしまうことすらあります」 民明書房 ゆっくりの飼い方 第4版より抜粋 「こんな野蛮な生き物、今すぐ引き取ってください!!」 まったく、いきなりこれかよ?朝早くドアノックの音で起こされた俺は家の前にすごい剣幕のあの女性がいるのを見たとき、なにかあるなと思いゆっくり達に隣の部屋で静かにするように言った。 「こんな自分の子供を殺すような生き物…!!おかげで娘は部屋に引きこもっちゃったのよ!!」 女性は両手に虐待用透明な箱(防音)を俺に押し付けてきた。中のれいむもちぇんも何かを叫んでいるが声は聞こえない、ただ、涙をながしながら女性に何かを訴えていた。 「ゆっくりして、ゆっくりしようよ!!」 「なんでちぇんをすてちゃうの?わからない、わからないよ!!」 おれにゆっくりを押しつけてすぐ帰ろうとする女性を捕まえてなんとか何が起こったのか聞き出す。 ふざけるな、妊娠中の動物はストレスに敏感なんだ、それを何度も引っ張り出した…? 俺の腕を振り切ろうとする女性に俺はどうしても聞きたかった事を聞いた。 「なんで飼育書を飼わなかったんです!?そうすりゃこいつらだって自分の子供を殺すようなことは…」 「あなたが本をくれなかったのが悪いのよ!!こんなに手のかかる生き物だと知っていたらゆっくり何て飼おうとは思わなかったのに!!」 俺はそれを聞いて唖然とした、俺は確かゆっくりを上げるとき、飼育書を飼ってくださいと言った。なのに俺があげないから悪いとは? なんというか、俺より年上の人が、DQNというか、ゆとりというか、にんげんゆっくりというか…そしてそれを見抜けなかった自分が、何より情けなく思った。 俺は、こいつらをどうすればいいんだ?こいつらをここまで追い詰めてしまったのは、あんな飼い主に渡してしまった俺の責任だ。 こいつらはもうまともなゆっくりとしての生活は送れない、人間に媚びて諂い、そのためになら子供まで容赦なく殺してしまうようになってしまった。 でも、自分には何の罪もない、少なくとも、自分のせいで子供殺しという罪を犯してしまったこいつらを処分してしまうなんてできない。 家で飼うにも、今のこいつらは子ゆっくりをゆっくりできなくする存在として殺してしまう。最悪、兄弟や実の親であってもだ。 俺は、どうしたらいいんだ?? あとがき ちゃんとした知識もなく、動物を飼った結果起こった悲劇…みたいなものを書いてみました。 何度もあきらめようとして、そしたらアイデアが浮かんで、途中でアイデアが浮かばなくなって…そしたらアイデアが… というループを繰り返した結果、SSの視点が飼い主のお兄さん、れいむ、ちぇん、娘、母親、完全な第三者ところころ変わるという非常に読みにくいものになってしまいました。 なんとか文の書き方や中身で誰の視点か分かりやすくはしたつもりでしたが…ごめんなさい、わからないならそれは自分の力不足です。 この話、実話をモデルにしています。 四分の一は自分がハムスターを飼っていた時のこと。 四分の三は兄の持っていた動物関連の本に乗っていたある獣医の体験談です。 現実にも犬に葱食わせて殺しかけた、赤ちゃんを不用意に近づけてかみ殺された。 猫にマグロの刺身食わせて殺しかけた。 ハムスターを同じところに集めた結果共食いが起きたなどの「飼い主が少し知識を集める」ことで防げたはずの悲劇が起きてます。 皆さんも動物を飼うときは気を付けてくださいね 9月10日 2209 セイン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2781.html
「ゆっへっへっへ、これだけあれば冬もゆっくりできるんだぜ!」 朝からの初雪で白く染まった人里外れの森。 大木の根元を掘り下げた洞窟で少し大きめのゆっくりまりさは高く詰まれた食料を前に下卑た笑みを浮かべていた。 「ゆっ。 じゃあれいむたちもう人間から食べ物を取ってこなくていいんだね?!」 「ああ、いいぜ。 これだけあればこの冬も越せるんだぜ。」 この洞窟にはこの少し大きなゆっくりまりさとその家族と他にゆっくりれいむの家族が住んでいた。 ただ数も多く、身体も皆大きいまりさの家族が穴の中心で踏ん反り返っているのに大して、れいむの家族は部屋の隅でお互いを寄せ合うようにしている。 この住処の力関係は歴然だった。 「やったねおかあしゃんこれであんしんしてゆっくりできるよ!」 とはいえこれでこの冬は一安心だと思ったのか、れいむの家族も安堵していた。 「ああ、ゆっくりできるぜ! ただしお前らは外でだけどな!」 「ゆっ!?」 言うが早いかまりさの家族は総がかりでれいむ達を体当たりで外にはじき出してしまった。 このまりさ一家、秋の終わりにこのれいむ一家の住んでいた洞窟に入り込んできて我が物顔で居座ると、 その大きな身体でれいむ一家を脅しては自分たちの食料を集めさせていた、いわゆるゲスまりさと呼ばれる種類であり、さらに最近ではもっと美味しいものをと言い出しては危険な人里から人間の食料を調達させていた。 「お前らはもう用済みなんだぜ! そこでゆっくり凍え死ぬといいんだぜ!」 『ゲラゲラ!』 ゲスまりさ一家は洞窟の入り口でそんな勝ち誇り、下品な笑いを吐いている。 れいむ一家は仕方なく雪の中せめて、住処だけでも見つけられないかと洞窟を後にした。 一方人里。 「かさはいらんかね~ かさはいらんかね~ 丈夫なかさだよ~」 年の瀬で皆忙しく買い物をする中、傘を売る老人がいた。 もっとも忙しい年の瀬、雪が降り出しているとはいっても今傘を買おうなんて思う人間はいない。 それでも老人は自分の年の瀬の用意をしなければと懸命に声を出しながら商店街を歩いていた。 …と、突然肩を乱暴にどかされ足腰の弱い老人はそのまま転倒してしまった。 「おいジジイ、マジ邪魔なんだけど。」 雪に倒れた身体を持ち上げて声のする方を見ると食料を乗せた荷車を引く青年の姿がある。 「へえ、すみませんでさぁ。」 この青年は里の庄屋に奉公に来ていたが素行も悪く、問題ばかり起こす事で有名だった。 とは言え忙しい年の瀬。 そんな青年でも何とか使わなければ手が回らないと、庄屋の番頭は仕方なく青年を買い物に行かせていた。 「はあ? マジすみませんじゃねえよこのボケ!」 「ぐうっ!」 この寒い中使いに行かされ、重たい荷車を引かされていた青年は機嫌が悪く、その捌け口を蹴りという形で老人にぶつけた。 もっとも、奉公に来ているからには仕事をこなすのは当たり前。 機嫌を悪くする時点でどうかしているのだが…。 「たくっ、傘なんざマジ売れもしねえのに歩いてるんじゃねえよ、マジ邪魔だっつーの。」 トドメとばかりに痛みで動けない老人に唾を吐いて尚もブツブツ言いながら去っていった。 人間にもゲスはいる。マジで。 しかし、確かに傘が売れないという点は青年の言うとおりだ。 老人は起き上がるとトボトボと商店街を後した。 「おかーしゃんさむいよお…」 「ごめんね、ゆっくりがまんしてね。」 激しさを増す雪の中、れいむ一家は住処も見つけられず、しだいに降り積もる雪に体力を奪われ、力尽きようとしていた。 「おや、ゆっくりかい。 こんな雪の中に何でまた…。」 人間だ、相手は老人だが今の自分達は戦うことは愚か逃げる事も出来ない。 れいむ一家は死を覚悟した。 老人は百姓である。 ゆっくりと言えば百姓にとっては田畑を荒らされるので目の敵なのだが、 この老人の畑はゆっくりの生息地からは遠かったので特に荒らされたりすることも無く、老人はゆっくりにそれ程嫌悪を抱いていなかった。 だからこれが普通の青年や他の農家だったらトドメを刺している所だが、元々人が良く、心優しい老人はそうはしなかった。 「ゆっくりと言えどこんな雪の中じゃ寒いじゃろうて、こんな物でよければどうじゃろうか?」 それどころか彼はれいむ達に頭の雪を払いながら売れなかった傘を被せていく。 散々いたぶられて殺されるかと思っていたれいむ達は予想外の老人の行動に呆然とし、全員に傘を被せてくれるまでじっとしていた。 幸いある程度大きくなったれいむ一家は全員サイズも違わず、傘はいい具合に頭を覆ってくれる。 「おじいさんありがとう!」 「おじいさんはゆっくりできるひとだね!」 れいむ達のお礼を聞いて老人は満足そうに笑うと、雪の中姿を消した。 「あークソ、マジだりいよ。 あのジジイもうちょっとマジぶん殴っておくんだったなあ。 つーかあの庄屋のオヤジとかありえねえだろマジで。 マジこんな雪の中使いに行かせんなつーの。 マジさっさと死ねや。」 商店街から庄屋の家に向かうには人通りの少ない人里の端のを進まなければいけない。 青年は相変わらずやたら「マジ」の入った頭の悪そうな文句を一人垂れ流しながら荷車を引いていた。 ガコンッ 「ん?!」 唐突に荷車に違和感を感じ、青年が後ろを見ると荷車がかなり傾いている。 雪の中、積雪に隠された岩に乗り上げたのだろう。 普通ならこんな物に気づかないワケ無いのだが独り言に夢中だった青年は気づかず、荷車は今にも横転しそうな所だった。 「ちょっ、うわマジやべえって! うわ…!」 そんな倒れた荷車の角に頭をぶつけて青年は気絶してしまった。 傘を貰ったとは言えれいむ一家の事態はそれ程好転しない。 住処が見つからない以上ほんの少し死期が伸びたに過ぎなかった。 「ゆっ、おかーさんあれ何?!」 視界の悪い雪の中子供の一匹が青年の倒した荷車を見つける。 幸いにも青年はまだ気絶していた。 「おかーさんごはん一杯だよ!」 「ゆっくり運び出そうね!」 れいむ達は思わぬ幸運にはしゃぎながら、横転して荷車から落ちた大量の食べ物を寄り添って使える面積を大きくした頭の上に乗せた。 傘は一匹だと斜めになっているので物を乗せられないが、何匹も寄り添えば元々面積は広いので多くのものが運搬出来る。 長い間ゲスまりさにこき使われていたれいむ達は運搬に慣れていたのでそういった知恵も働いた。 「ってててて… マジ(い)ってえわ。 何なんだよマジで…ってうおい! マジどうなんってんだよ?!」 雪の中目を覚ました青年が荷車を見ると荷物がはほぼ全て無い。 急いで辺りを見ると雪の中帽子に荷物を載せて遠ざかるゆっくりの影があった。 「てめえらマジなにやってんだよ!? オイ、マジ待ちやがれ!」 急いで後を追おうとするが荷車に着物の一部が挟まって中々起き上がれない。 落ち着いてやれば簡単に外れるのだが半ばパニック状態の青年にそれはマジ無理な相談だった。 「くっそ、マジぶっ殺す! マジ一匹残らずぶっ殺してやっからマジ覚えていろよ!」 雪の中後ろからする青年の憎悪の声を振り切り、落ち着いたところでれいむ達は休む事にした。 大量の食べ物は手に入ったがこのままこれを持っていても住処がない以上どうしようもない。 「おかーさん、このままじゃれいむ達ゆっくり死んじゃうよ!」 「そーだよ、だから死ぬ前にせめてゆっくりおなか一杯になって死にたいよ!」 子供たちに言われ母れいむは考えた。 ここで食料を食べ続けても雪がしのげない以上はいずれは死ぬ。 それも食料がある分ゆっくりと凍え死ぬだろう。 ゆっくりするのはいい事だがなるべくなら自分達も子供達も苦しまないであの世に行きたかった。 物を食べれば半端に体力が続いて苦しむことは母れいむには分かる。 「ゆっくり待ってね! この食べ物はあのやさしいおじいさんにゆっくり届けてあげよう!」 「ゆっ! おかーさんどうして?!」 「そーだよれいむ達どうせ死ぬならゆっくりお腹一杯食べて死にたいよ!」 「ゆっくり考えてね! ゆっくりいい事をすればてんごくに行けるんだよ! そうすればあの世で一杯ゆっくり出来るんだよ!」 「ゆっ、そうなの?!」 「じゃあみんあでいいことしてゆっくり天国にいこうね!」 「お帰りアンタ。 どうだい傘は売れたかい?」 「いや、それがのう…。」 雪の中家に着いた老人は妻の老婆にゆっくりの一家に傘をあげてしまった事を話した。 「すまないねばあさん。」 「何言ってんだい。 どうせ売れなかったら邪魔になるだけなんだからあたしゃ何にも言わないよ。 それにアンタがそれでいいと思ったんだからあたしも悪いなんて思わないさ。 何、年の瀬は贅沢出来なくても冬の間の買い置きは十分。 二人でゆっくり年越ししようじゃないか。」 子にも恵まれず寂しく年を越すよりはせめて贅沢にと二人で作った傘を売りに行った老人は、 それをゆっくりにあげてしまった事を咎められると思っていたが、老婆はその選択をやさしく受け入れてくれた。 自分にはこの妻がいれば幸せなのだと涙する老人に 「いやだよアンタ年甲斐もなく泣いちゃって。」 と笑う老婆。 そんな暖かな老夫婦の家の戸を叩く音があった。 「おや、誰だろうね、こんな雪の中…。」 老婆がいそいそと戸を開けるとそこには 『ゆっくりしていってね!』 「殺す!マジ殺す! マジ一匹残らず殺してやるかんな、あのマジクソ饅頭が!」 庄屋の番頭にこっぴどく叱られ、腹いせにあのゆっくり達に復讐してやろうと雪の森を歩く。 青年には心当たりがあった。 最近人里で食料が盗まれる事が多い。 現場の様子からして犯人はゆっくりで、住処の検討も着いているからそれを掃討しようという話を青年は知っていた。 話の内容から巣の位置もそれなりに見当がつく。 マジで理不尽な怒りを燃え滾らせる青年はズカズカと雪の振る森を歩いていった。 「む~しゃむ~しゃしあわせ~♪」 れいむから奪った巣の中ゲスまりさ一家は早速食料を食い漁っていた。 「それぐらいにしておくんだぜ! 沢山あるけどせつやくしなきゃまた誰かに取りにいかせなきゃならないんだぜ!」 「ゲラゲラ、あんなの簡単なんだぜ!まりさ達は無敵なんだz…ゆべっ!」 「マジ見つけたぞオラア!」 突然洞窟に青年が入り入り口近くのまりさを蹴り飛ばして壁に餡子をぶちまけた。 「ゆっ、おにいさんここはまりさ達の…ゆぶえ!」 続けて抗議しようとした二匹目を踏み潰す。 「マジるっせえよこのクソ饅頭が! マジテメエらだろ俺の荷物や里で食いモン盗んでたのはよぉ!」 「ゆっ、それは違うんだぜ! 盗んだのは全部れいむ達なんだぜ! まりさは盗んでないんだぜ、分かったらゆっくりあやまっておかしを…ゆぎぎぎ…ゆぎあ!」 更に弁解と謝罪の要求を始めたまりさをマジ二つに引き裂いた。 「はあ?マジ何言ってんのオマエ。 俺マジお前らが逃げてく所見ているんだけど? 帽子被っているのなんてマジお前らしかいねえだろうがよ! しかもマジ何よその食い物、マジ全部里のモンじゃねえか! わかったらマジ死ねやゴルア!!!!」 「ゆげええええ!!! なんでなんだぜえええええ!!!!!!」 雪はすっかり溶け、レティも姿を消した頃、百姓夫婦と共に農作業をするゆっくりれいむ一家の姿があった。 「おじいさん、これ何処におけばいいの?!」 「ああ、それはこっちに。 ああ、そこはもうそれぐらいでいいじゃろう、あっちにお茶菓子用意しておいたからゆっくり休みなさい。」 『ゆっくり了解したよ!』 「おじいさん達も一緒にゆっくりしようね!」 元々寂しかった老夫婦は雪の中恩返しに重たい食べ物を運んできてくれたれいむ一家を受け入れ、正月をにぎやかに過ごした。 れいむ一家はその後老夫婦の農作業を手伝いながらゆっくりと充実した日々を過ごしている。 運搬が得意で虐げられて来た為か根性とモラルが備わったれいむ一家は老人達にとっても孫のような存在になった。 老夫婦にとっても身の回りがにぎやかになり、寂しくはない。 「はるですよ~♪」 幻想郷の春は妖精リリーの能天気な呼び声で始まった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1338.html
ゆっくり消しゴム。 今幻想郷で人間の子供達や精神の幼い妖怪の間で小さなブームとなっている文房具だ。 ゴムとは言うものの実際にはゴムではなく一匹の生き物である。 最近あらゆる方面で人気の高い生命体ゆっくり、その中でも3立方センチメートル程のちいさなものがこのゆっくり消しゴムとなる。 その愛らしい見た目と手頃な小ささからゆっくり消しゴムはいわゆる昔のたまごっちの様なブランドを子供たちの間で獲得したのだった。 「見ろよオレの!これ希少種のれみりゃっていうんだぜ!」 「いいなー私なんかせいぜいみょんぐらいしかないんだよ」 「そんなのまだいいさ、僕なんてやたら帽子がずれるまりさしかないんだよ」 互いに自分のゆっくりを子供たちが見せ合ってる中、その様子を木陰に隠れながらうらやましそうに見つめる一人の少女がいた。 彼女はチルノ、幻想郷の中でも比較的幼く子供らしい気質の妖精であった。 字も書けない彼女にとって消しゴム等というものは今まで必要の無いものであったが、 最近の子供たちの手に握られている奇妙な物体を見ると彼らの笑顔のせいもあってかどうしても欲しくて仕方なくなった。 とは言うものの養殖栽培で作られているゆっくり消しゴムは通常自然で手に入る事はほとんどない。 チルノはその無い頭を極限にまで回転させ、知恵熱で二日寝込み、その三日後に教職に就いている慧音のことを思い出した。 「あたいったら天才ね!」 全快したチルノは早速慧音のもとに向かいゆっくり消しゴムを一つくれるように頼み込んだ。 理由はどうあれ文房具を必死に欲しがるチルノに多少の好感を抱いた慧音はチルノにある提案をした。 「それじゃあゆっくり消しゴムと鉛筆、紙もわたしてあげよう。そのかわり、私に手紙を書いてきなさい。約束できるか?」 この約束に多少戸惑いはしたがそれもそれで面白いかも、とすぐに思い直しチルノは大きく首を縦に振った。 「ゆっくりしていってね!」 満面の笑みでチルノを見つめておなじみの言葉を発しているのはゆっくり霊夢、ゆっくり消しゴムの中で最も手に入りやすいものだった。 それでもチルノにとっては久しぶりに出来た宝物だったのだ。 チルノはすぐに湖の表面に手頃な氷の机を作り、渡された紙に手紙を書きはじめた。 字のお手本も既に慧音からもらっていたので準備は万端である。 大きな文字でお手本を見ながら好きな事を書くチルノをゆっくり霊夢はゆっくりしながら・・・ いや、ゆっくり霊夢はゆっくり出来ていなかった。なぜなら彼女は辺り一面凍り付いた氷上で敷物も敷かれずに置かれていたからである。 「ゆっゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!!」 あまりの寒さにお決まりの台詞も言えないゆっくり。せめて紙の上にでもと体を動かそうとした瞬間 「ゆっ!?」 自分の体がその場所から全く動かないどころかその場所との接着面に鋭い痛みを感じるゆっくり。 そう、彼女は低温の氷の机の上にぴったりと張り付いてしまったのだ。 こうなるといくら頭の弱いゆっくりも自分が体を動かす事で鋭い痛みが走るという事には気づいた。 しょうがない、この氷の妖精が手紙を書き終えるまでゆっくり待つしかないか・・・ だがそうと割り切っても周りの低温と氷の机は自分の体の熱を奪っていく。たまらずゆっくりは 「早く手紙を書いてね!」 とチルノに向かってめずらしい応援をとばした。だがそれがいけなかった。 「うるさいなあ!急がすから失敗しちゃったじゃないかあ!」 ムカッときたチルノは机に張り付いているゆっくりを鷲掴み、容赦なく剥がしとった 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 そんな叫び声等おかまい無しにチルノはゆっくり霊夢を紙に押し付けむちゃくちゃに擦り付ける。 そう、ゆっくり霊夢は消しゴムなのだ。 本来この使い方が正しい使い方なのだがその使用時のあまりの断末魔に耐えかねて 消しゴムとして使用する人々が減り今の流行に落ち着いたのだ。 しかし、チルノは消しゴムというものをよく知らなかった事、手紙を書く事に躍起になっていた事もあって ゆっくりの悲鳴を全く気にしなかった。 「やめてええええええええ、ゆっくりしたいよおおおおおおおおおお!!!」 粗方消しきって満足するチルノ、それとは対照的に顔面を机の上に押し付けたままへたっているゆっくり。 だが、ゆっくりの悲劇はこれだけでは終わらなかった。 ここでゆっくり消しゴムの構造について簡単に説明しなくてはならない。 この小型のゆっくりは急激なストレスや物理的ダメージを与えると体から汗とは違う特殊な体液を出す。 この体液こそ鉛筆の線を綺麗に消しとってくれるゆっくり消しゴムの秘密なのだ。 さてそうなると今氷の机の上に顔面から突っ伏しているゆっくり霊夢は今すぐ顔、いや体を上げようと思うべきだった。 「ん゛?ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」 気づいた時には既に遅かった、さっき以上に顔面が氷にべったりと張り付いて身動きがとれなくなっていたのだ。 しかもタイミングの悪い事にちょうどチルノはまたも失敗した字を紙に書き込んで悔しがっていたのだ。 「だから・・・うるさいってばー!!」 その声に体をびくっとふるわせるゆっくり。寒いにもかかわらず額を汗がつたう。 「ん゛ー!ん゛ー!ん゛ん゛ん゛・・・ぃぃいぎゃああああああああああああ」 さっきと同様に躊躇なく机からゆっくりを引きはがすチルノ。その異常な声に流石のチルノも驚き手を離した。 そのためゆっくりは勢いよく放物線を描いて氷が張っていない湖面の方向へ飛んでいき見事に着水した。 「ぐぼ・・ぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・・」 氷が張っていないとはいえ水の温度は5度程度、ゆっくりの少ない体力を奪うのには1分も必要としなかった。 ゆっくりできなかったよ! 薄れる意識の中ゆっくりは静かに思った。 「大丈夫?ねえ、大丈夫!?」 目が覚めるとゆっくり霊夢は濡れたまま湖のほとりにいた。どうやらぎりぎりのところをチルノが救い上げてくれたらしい。 「ごめんね、放り投げたりして。あんたが大きな声だすからびっくりして・・・」 誰のせいだと思っている。もうろうとした意識の中で軽くそんな事を思ったが今はどちらかといえば助けてくれた事への 感謝の気持ちの方が勝っていた。 「これからはゆっくりと大切に使っていくからね!」 笑顔をで発せられたゆっくりという単語に自然に反応し言葉を返すゆっくり霊夢 「うん、ゆっくりしていこうね!」 だがゆっくりは気づいていない。チルノがこれからもゆっくりを「使っていく」ということに。 そして何故ゆっくり霊夢が悲鳴を上げていたのかを、まだチルノは理解していないという事にも・・・
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/164.html
「ホホホホ....よくぞいらっしゃいました。さて今日はどんなご用件で?ああ?猟ゆっくりをご覧になりたいと承知しました。ではこちらへ」 私はある興味深い話を聞いて里にほど近い廃農場を改築してできたゆっくりの養成所に来ていた。 「ここ最近ゆっくりの駆除数は多くなってますが、ゆっくり全体で見れば統計上減るどころかむしろ増えてるのが現状です なにしろあれはゴキb・・・失礼雑草のようなものですからねホホホホ...それはともかく減らないのは駆除の仕方に問題があるからなのです。 臭いものは元から断つのが一番。巣を見つけてコロニーごと叩きつぶすのが最も効果的と言うわけですなホホホホ.... しかし人間では隠れたゆっくりの巣を見つけるのは難しい。そこでわたくしめはゆっくりにやらせてみればと思いついたのです つまりはコペルニクス的思考転換と・・・オホン、まぁ毒を以て毒を制すと言う訳ですな」 歩きながらの男の説明終わったあたりでガラスの向こうに厩舎らしき場所にいくつもの鉄柵の囲いがいくつもある場所にきた 「ここは未来の生まれたばかりの猟ゆっくりの卵たちを育てる場所でございます。猟ゆっくりというのは若いうちから育てないといけません。 ま、当然ですな…躯が大きくなると態度も大きくなって育てるのも難しいですからなホホホホ....」 一つ囲いの中には大体5~6匹のちびゆっくり達が居る。まだビー玉大から野球ボール程の大きさの様々の子ゆっくりが飼育されている 「ゆっ!」 「ゆ~ゆゆ~♪」 まだまだ子供なのでどれも元気に跳ねまわったり、歌ったり、仲間同士で追いかけっこっしたり藁の上で飛び跳ねたりして遊んでいる。 「猟ゆっくりと言うのは全てのゆっくりがなれるものでは有りません。ここは適性があるかどうかを調べる場でもあるのです。おや… そろそろ時間の様ですな」 案内をしている男がそう言うと厩舎内のベルが鳴り始めた。すると周囲のゆっくり達が急に騒ぎ始めゆっくり達の大合唱が始まった 「ゆ!ゴハン~!」 「おなかしゅいたよ!はやくれいむにごはんをちょうだいね!」 白衣を着た男達がバケツを抱えてやってきた。男たちは囲いの前に立つと餌をエサ入れに流し込む。よく観察してみると小さいゆっくりの 囲いには大量の餌を入れているが、比較的育っている子ゆっくりの方にはその半分かそれ以下しか入れていない。明らかに囲いの中の ゆっくり達の十分の量なエサではない。どういう訳か尋ねてみる 「ホホホ...よくぞお気づきになられました。これも適性を図るプロセスの一つなのです。まぁこちらをご覧ください」 私は案内役に促され今白衣の男が給餌している一つの囲いを覗く。中では3匹の子ゆっくりれいむと2匹のゆっくりまりさ達がエサ台の前に集まっていた。 「ゆ!きょうはきのうよりごはんがすくないよ!おじさんごはんもっとちょうだい!」 一匹の子れいむが声を上げる。しかし白衣の男は次の囲いの給餌に行って既に居ない 5匹はゆーゆーと不満の声を上げていたが 「だいじょうぶだよ。わければみんなたべれるよ」 と5匹の中で2番目に大きいれいむが提案する 「みんなでいっちょでたべればおいちいよ!」 「そうだね!」 と嬉しそうに飛び跳ねながら口々に声を上げる3匹のれいむとまりさ 「そんなのぜったいやだよ!おっきなまりさはわけたらまんぞくできないよ。」 一番大きいまりさが異を唱えた 「ねんちょうしゃのいうことはぜったいだよ!」 それに3番目に大きいれいむが一番大きいまりさの横で援護する。こいつはどうも一番大きい奴の側らしい 「でもみんなでわけないとゆっくりできないよ!」 「そうだよ!」 口ぐちと非難をあげる3匹 「ちっちゃいくせなまいきだよ!まりさをうやまわないれいむはしね!」 そう言うとガキ大将は他の3匹を跳ね飛ばす。 「ゆぎゃっ!」 「い゛た゛い゛よぉぉぉ!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅ」 3匹と言えど体格差ではまりさには足元に及ばず成す術もない 「おねえちゃんのいうこときけないけっかがそれだよ!」 と言ってガキ大将の側についてた腰ぎんちゃくのれいむが跳ね飛ばされて動けないゆっくり達の傍で芥悪態を付く 結局餌はガキ大将まりさが総取りし、そのおこぼれを腰ぎんちゃくのれいむが食べていた 「ハフッハフッ!めっちゃうめ!」 「しあわせ~♪」 「おなかすいたよぉ~…」 「ずるいよぉ~…」 「ゅぅ…」 残る3匹はおこぼれすら貰えずその様子を見て愚痴ることしかできなかった。しかし空腹に耐えられず敷いてある稲藁を力なく 食み始めた 「さてお客様ここで一つクイズです。この5匹の中猟ゆっくりの適性があるのはどれだと思いますか?」 私はおそらく一番大きいゆっくりまりさでないかと答えた 「なるほど…ホホホ、それでは選別を行いますのでしばしお待ちください」 案内役はジェスチャーで指示を出すと、一人の白衣の男が今みていたゆっくり達の囲いにやってきた。 「ゆ?おじさんこんどはでざーと?はやくだしてね!」 ガキ大将まりさは開口一番生意気な口を叩く。白衣の男は何かを取り出す 「じらさないでまりさのためにはやくちょうだいね!」 白衣の男は表情一つ変えず何かをまりさの口に素早く突き出す そばで大きな口を開けて餌をねだる口には餌の代わりに尖った鋭い棒が刺さる 「げぶぁッ!」 後頭部に突如風穴を開けられるガキ大将まりさ 「どぉぼでぃでぇぎょんぼどずるのぉ...」 ガキ大将まりさにさした棒を引き抜き何度も突くのが繰り返される 「ゆ゛…ふ゛り…たか…よ」 何かを言い残し息絶えるガキ大将まりさ 「ざまぁだね!」 「いじわるなまりさしんでね!」 それを見たガキ大将に跳ね飛ばされてた3匹のゆっくりは嬉々として飛び跳ねる 「ホホホホ....お客様残念ですが不正解です。あのゆっくりまりさは体格や強さなどは申し分ありませんが、猟ゆっくりに求められるのは、 他の猟ゆっくりとの協調性と主人への忠誠心。 ゆっくり狩りというのはゆっくりの集団を追い込み仕留めるのを目的しております。 単独では難しいので普通はチームを組むのが基本です、お山の大将など必要ありません。強さなどは二の次…そんなものは訓練次第でどうでもなります。無論同族食いする様なのはNGですぞ。例えば10匹の群れを追うのに1匹に食いついて9匹を逃すようなのを猟ゆっくりとは言えませんからねホホホホ....。 それと人を小馬鹿にするようなことを堂々と言うゆっくりが主人の言う事など聞くはずありませんからねぇ。当然ダメ おっと何時までもここで時間を取ってたら昼になってしまいますな。それでは次に参りましょう、ホホホホ....」 案内役は私を次の部屋へ案内する。次は猟ゆっくりに選ばれた奴らが野生のゆっくりの巣の追跡や集団を追い込む 訓練が見れるらしい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/284.html
「ユックリシテイッテネ!!!」 夕飯の買い物から途中、そんな声を上げる物体を見かけた。 普通のゆっくりによく似ているが、体が赤くて通常のゆっくりと比べると随分早口で甲高い声だ。 「ユックリシテイッテネユックリシテイッテネ!!!」 またとんでもない早口で喋ると、こちらに向かって飛んできた。ギリギリで避けられたが、物凄い速さだ。 「な、何だお前?く、食い物が欲しいのか?」 「ユックリチョウダイ!!!ユックリタベサセテネ!!!」 何だか気味が悪いので大根の葉を少しちぎって投げてみる。 普通のゆっくりなら地面に落ちた後で「食べていいの!?」などと喚きながら食べるだろう。 だが、こいつは地面に落ちるどころか手を離すとほぼ同時に飛び上がって食いついてきた。 何て意地汚い奴だ。目にも留まらぬとはこの事か。 何だかちょっと面白くなってきたので試しにキャベツを一枚剥がして投げてみる。 また飛び上がって食いつく。今度は流石に一口では食いきれないようだが、これまた尋常じゃない速さで食い尽くす。 「何なんだぁお前は?随分ゆっくりしてないゆっくりだが」 「レイムハレイムダヨ!!ツウジョウノサンバイユックリシテルサンバイレイムダヨ!!」 「早口で喋るのはやめてくれ聞き取りづらい。そうか三倍れいむか……そんなのもいるんだな」 「オジサンユックリデキルヒトダネ!!オウチニツレテイッテヨ!!」 「あ?やだよ。お前大食いっぽいんだもん」 「ダイジョウブダヨ!!レイムジブンデゴハントッテコレルヨ!!ツレテイッテヨ!!!」 「…ならいいが。言っておくが家の中を少しでも荒らしたりしたら潰して食うからな」 「ワカッタヨ!!ユックリシテイクヨ!!ユックリツレテイッテネ!!!」 「お前に言われると物凄く説得力が無いんだけどな。まあいいや付いて来い」 「ユックリー!ユックリシテイッテネー!!」 上機嫌そうに付いてくる三倍れいむ。自分でエサを取るなんて、珍しい事を言うゆっくりだな。 それに赤いし、早口だし、全然ゆっくりしてないし。時々普通に歩いてる俺を追い越して待ってる事まである。 「ハヤクハヤク!!ユックリカケアシシテネ!!!」 「無茶言うな。何だってお前はそんなにすばしっこいんだ」 とにかく変わったゆっくりだ。こいつを増やせば高く売れるかもしれんな…… そんな思惑と共に帰宅。 「そら着いた。ここが俺の家だ。言っておくが、お前の家じゃないぞ」 「ワカッテルヨ!!オジサンノオウチダヨ!!セマクテウスギタナクテクサイケドイイトコロダネ!!ユックリシテイクヨ!!!」 「死にたいか?」 「ゴベンダザイ!ヒログデギレエデイイニオイガジマズゥ!!ユッグリザゼデグダサイ!!」 まだ何もしてないのに泣き叫ぶ三倍。変わった奴だな本当に。 「まあいいがな。しかしお前なんだって俺の家に来たがったんだ?エサは自分で取るとか言うし、メリット無いだろ」 「サビシイノハイヤナンダヨ!!ダレカトユックリシタインダヨ!!!ユックリサセテネ!!!」 「寂しいってお前、友達とか居ないのか?」 「レイムトモダチイナイノ!!ミンナレイムノコトイヤガルノ!!オジサンモレイムキライナノ!!?」 「いや別に。まだ何もしてないからなお前は。……ふうん。お前変な奴だからなぁ。それで嫌われてんのか」 狼等の動物も怪我や病気等で他とは違うような奴は爪弾きにされるという。ゆっくりもそうだったのか。 「ま、どうでもいいや。さっきも言ったが、自分でエサを取って、家の中を荒らしたりしないなら家に置いてやる」 「ヤクソクスルヨ!!ゴハンハジブンデトッテコレルヨ!!オウチノナカモコワシタリシナイヨ!!オジサンアリガトウ!!ユックリシテイッテネ!!」 凄く嬉しそうにその場で跳ねまくる。あまりに素早いので表情がよく見えない。声もステレオで面白い。 さて、そうして三倍ゆっくりれいむとの奇妙な同居生活が始まった訳だが。 確かにエサは自分で取ってくるし、家の中でもなるべく大人しくしようとしている。 一ヶ月経ってもその様子に変化は無く、ゆっくりの割に約束事を守れる非常に珍しいゆっくりだ。 あまりに早口なので集中しないと言葉を聞き取れないのが難点だが、それは何度言っても直らなかった。 まあ、それが原因で他のゆっくりから迫害されたのだからもう矯正は無理なんだろうな。 下手に弄って普通のゆっくりと同じになられてもそれはそれで困るし。実害が出てしまう。 そういえば、試しに眠っている隙にこっそり千切って食ったら辛かった。味まで変わってるとは。 その後飛び起きて「ユックリアヤマッテネ!!ユックリアヤマッテネ!!」と泣き叫ぶ三倍を宥めるのに苦労した。 結局傷口を塞いで抱いて寝てやったらとても喜んでいた。普通のゆっくりと違って手間も少ないし、可愛いかもしれない。 そんなある日、そろそろ季節が変わろうかという頃。 普通のゆっくりれいむとゆっくりまりさのつがいが家の庭に這入り込んでいた。 「おじさんだあれ!?」 「ここはまりさたちがみつけたおうちだよ!!!ゆっくりでていって!!」 見つけたも何も、俺は始めから家の中に居たんだが。と、その声を聞きつけたのか三倍が猛スピードでやってきた。 「ユックリデテイッテネ!!!ココハレイムトオジサンノオウチダヨ!!!サキニミツケタノハオジサンダヨ!!」 「ゆっく!?へんなひとがいるよ!!」 「ぴょんぴょんはねてぜんぜんゆっくりできてない!!」 三倍を見てゲラゲラと笑い出した二匹。なるほどこんな感じで迫害されてたのか。 見れば三倍は跳ねるのをやめ、プルプルと震えている。物凄い勢いで。顔がブレて表情が見えん。 「ウルサイウルサイウルサイ!!!ユックリデテイッテネ!!ユックリデテイッテネ!!」 「うるさいうるさい、だってさ」 「おお、こわいこわい」 そう言って再びゲラゲラ笑い出すゆっくり二匹。うーむ。やっぱり普通のゆっくりの方が腹立つな。 三倍なら何を言ってるのかいまいち聞き取りづらいし、動きも異様に速いから逆に笑えるんだが。 「ゆっくりできないひとたちはれいむたちのおうちからでていってね!!!」 「ゆっくりでていってね!!ゆっくりしんでね!!!」 一通り笑ってから飛び掛ってくるノーマルゆっくり二匹。手で弾こうと思った瞬間、二匹とも凄い勢いで横に飛んでいった。 「オジサンニナニスルノ!!ユックリデテイッテネ!!」 どうやら三倍が突き飛ばしたらしい。三倍どころかこいつらの十倍以上の速度はあったと思う。 突き飛ばされた二匹は何が起こったのか分からないような顔をしていた。 「ユックリデテイッテネ!!ユックリデテイッテネ!!」 威嚇しつつ叫ぶ三倍を見て漸く自分達がこいつに突き飛ばされたのだと理解したのか、 顔を真っ赤にして焼いた餅の様に全身を膨らませて三倍に向かっていく。 だが、異常なまでのスピードで跳ね回る三倍には手も足も出ず、一方的に四方八方から突き飛ばされて転がるだけだった。 「ユックリシネ!ユックリシネ!!レイムヲユックリサセナイヒトハユックリシネ!!」 「や゛べでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「どう゛じでゆ゛っぐり゛ざぜでぐれ゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 はいパターン入った。この台詞が出る頃には大抵戦意などどこかへ行ってしまっているのだ。 それでも攻撃の手を緩めない三倍。今日のように迫害された日々の記憶でも甦ったのだろうか。 「ユックリシネ!!ユックリシネ!!…ウメェ!!メガッサウメェ!!ハフハフ!!」 「ぎゅっ!!い゛だい゛!!や゛べで!れ゛い゛む゛をだべだい゛で!!」 「ま゛り゛ざはお゛い゛じぐだい゛よ゛!!れ゛い゛む゛だげだべでよ゛お゛お゛!!」 飛び跳ね、突き飛ばしながら少しずつ皮を食いちぎっていく三倍。見る見るうちに餡子が露出していく。 「びゅぐっ……ゆ゛っゆ゛っ……ゆ゛っぐ、り゛……じだい゛……」 「びくびくっ……ぼっど……ゆ゛っぐり゛……じだ……が……」 「ユックリウメェ!!タマンネェ!!ハム!ハフハフ、ハフ!!」 完全に二匹とも動かなくなった後もぐるぐる周囲を回って餡子を食い続ける三倍。結局十分程度で二匹とも食い尽くしてしまった。 「お前、同類でも構わないで食っちまうゆっくりなんだな」 「アンナノナカマジャナイヨ!!ユックリサセテクレナイモン!!」 「ふうん。じゃあお前一人ぼっちなんじゃないのか?」 「ヒトリジャナイヨ!!レイムハヒトリジャナイヨ!!オジサンガイテクレルモン!!ユックリデキテルヨ!!」 ゆっくりの割に殊勝な所もある三倍ゆっくり。あのスピードにこの性格。 ひょっとしたら加工場に持っていけば対ゆっくり用ゆっくりとして高く売れるかも知れない。 それにはまずこいつの数を増やさないとな。可愛いくて忠実なだけじゃ生き残れないんだぜ三倍。 翌日、早速三倍ゆっくりを連れて加工場へ向かう。幸いこいつは加工場がどういう所か知らないらしく、散歩だと言えば喜んで着いてきた。 受付で事情を話すと、奥の部屋へ連れて行かれた。手に持っている三倍がウズウズしているのが分かる。 「中に入ったら大人しくしていろ」という言いつけを守ってくれるのは正直ありがたい。普通のゆっくりは絶対に聞かないからな。 「お待たせいたしました。それが三倍ゆっくりですか?」 部屋で少しの間待つと、この工場の偉い人が来た。何でも繁殖・飼育全般の責任者兼副工場長なのだとか。 「ええそうです。普通のゆっくりと違って赤いでしょう?それに早口で、動きも素早いです」 「ふぅむ…ちょっと部屋の中を走らせてもらっていいですか?」 「はい。おい三倍。この部屋の中を一周だけ走ってみろ。絶対に物を壊したりするなよ」 「ワカッタヨオジサン!!ユックリハシルヨ!!」 ゆっくり、と言いつつその速度は全然ゆっくりしてない。 いつもの超スピードで部屋を一周すると、凄い勢いで膝の上に戻ってくる。タマちゃんが痛い。 「ど、どうですか。こんなに速く動くゆっくりなんて珍しいでしょう」 「そうですねえ。ゆっくりフランの飛行速度よりも随分と速いようです。 番ゆっくり、でしたか。貴方の言う事もよく聞いてるようだし、確かにいけるかも知れないですね」 「そうですか。それでは繁殖の件は……」 「試してみる価値はありそうですね。ただ、失敗すればこの子が死ぬかも知れないですが本当によろしいのですね?」 「ええ、構いません。どうせ拾い物ですし」 「そうですか。それでは早速用意しましょう。着いて来て下さい」 「ユックリデキル!?ユックリデキルヨネオジサン!!」 「ああゆっくりさせてやるよ。だから安心しろ」 不安がってこちらを見て震える三倍。だからブレて表情が見えないってば。怖がってるのは分かるけどさ。 案内された部屋には、数匹の発情したゆっくりれいむが居た。 「ゆっくりれいむは受けになる事が多いですから。では三倍も発情させましょう」 ゆっくり業師とかいう人に三倍を手渡す。業師は慣れた手つきで三倍の体を撫で回し、揺すった。 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリシテイッテネェェ」 目がとろんとして動きが少しだけ緩慢になった三倍。ちゃんと表情を見れたのなんて久しぶりだ。 すかさず発情れいむが入っている檻に入れられる三倍。 自身と同じく発情した相手を見つけるやいなや猛スピードですり寄って行く。速すぎて気持ち悪い。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっくりいぃぃぃぃん!!」 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリイッテネ!!ユックリイッテネ!!」 凄まじい勢いで発情れいむに擦り寄りまくる三倍。見る見るうちに発情れいむの息が荒くなっていく。 「ゆっく……ゆっくりいくよ!!ゆっくりいくよ!!ゆぅん……んほおおおおおおおおっ!!」 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリシテイッテネ!!!!!」 例の雄叫びを上げ、ぶるりと大きく震えて動きを止める二匹。しばらくすると三倍の方は元気良く動き回る。 「スッキリー!!」 一方ノーマルれいむの頭からは赤い蔓が伸びている。やがて蔓には三倍と同じ赤い実がいくつも実り、目を覚まして騒ぎ出した。 「ユックイチテイッテネ!!!」「ユックリオハヨウ!!!」「オジサンタチユックイデキユヒト!!?」 「どうやら上手くいったようですね。貴方も三倍も、本当にありがとうございます」 「いえいえ、私は何も。では私はこれで。三倍、帰るぞ」 「ユックリシテイクヨ!!!レイムハココデユックリスルヨ!!!」 「何言ってるんだ。お前の家は……」 「レイムノアカチャンガイルモン!!レイムガソダテルヨ!!オジサンダケカエッテネ!!!」 「…せっかくだからこいつも引き取ってもらえますか?」 「ええ、喜んで。では後でお礼をお渡ししますので先程の部屋でお待ち下さい」 その後、わざわざ工場長までやって来て、普通のゆっくりよりも随分沢山の代金を受け取った。 せっかくなので赤ん坊の三倍を売って貰えないだろうか、と尋ねると無料で一匹貰えた。 これから番ゆっくりが商品化すれば、売り上げ次第でまた配当がもらえるらしい。ラッキーだ。 今はすやすやと高速で寝息を立てているちび三倍を持って家に帰ると、そこには普通のゆっくりが我が物顔で居座っていた。 早速餌が手に入ってありがたい事だ。 大金を貰って機嫌のいい俺は大声で呼びかける。 「おおいゆっくり達。美味しいお菓子があるからおいで!!」 「ゆっ!おかし!!おかし!!おじさんはやくたべさせてね!!」 「さっさとちょうだいね!!くれないならかえってね!!」 上機嫌な俺にそんな口撃は通用しない。さらばゆっくり。 足元に群がってきたゆっくりを一匹残らず踏み潰す。 「ゆ゛びゅぷっ!!」「ぐぇあ」「びゅぷるぷっ!!」「ぱっびっぶっぺっぽおっ!」「い゛だい゛よ゛ぶっぷ!!」 悲鳴でちび三倍が目を覚ます。体は小さいがスピードは成体と変わらないようで、素早く地面に飛び降りて残骸を食い始める。 「ハァハァ、ウッメ!!オジサンオイシイヨコレ!!オジサンモタベレバイイヨ!!ユックリタベヨウネ!!ハム!ハフハフ、ハフ!!」 「俺はいらん。好きなだけ食べな」 こいつも普通のゆっくりとは性格が少し違うようだ。ちゃんと躾ければ番ゆっくりとして役に立つかもしれない。 YUKKURI THE RED COMET END 作:ミコスリ=ハン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4111.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※最初の数回は読者様のストレスをマッハにすることに腐心しています。虐待は次回から。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※今回は人間が悲惨な目に会う描写があり、気分を深く害される恐れがあります。 一応、今回だけ読み飛ばしてもいいように書いていく予定です。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』4 ずっと俺には疑問だった。 突如として現実世界に現れた不可解な存在、ゆっくり。 こいつらは一体なんなんだ。 中身に詰まっているのは餡子のみ。 他のどの生態系にも類を見ない不可思議な機構で動いている。 小麦粉と甘味でほとんどが構成されたその肉体はひどくもろく、衝撃や苦痛でたやすく餡子を漏らして死ぬ。 なにより不可解なのはその知能だ。 言語を話す、という時点で他の動物とは比較にならないほど知能は高い。 ところがその行動は単細胞生物のそれで、 思考力や学習能力にひどく乏しく、目先のゆっくりしか目に入らず、 野生動物なら最低限あってしかるべきはずの危機管理能力が決定的に欠けている。 おそろしく弱いくせに自信に満ち溢れ、無謀なことばかり繰り返す。 こんな生物は、生態系としては下の下で、 とっくの昔に絶滅していておかしくないはずなのだが、 並はずれた性欲に支えられた繁殖力、ただそれだけを武器に、 ゴキブリ以上のしぶとさで地球にしがみついている。 俺にはわからなかった。 大学で少々生物学をかじった身として、 ゆっくりの生物としての整合性が理解できなかったのだ。 性欲以外のほぼすべての特徴が、生物としてマイナス要素しかない。 なぜ、そんな生き物が生まれてきたのだろうか。 生物に意味などあるはずはない。 しかしどの生物も、進化の過程を経て、 思わず感心してしまうほどの適合力を見せて、自らの生活圏とぴったりと結合している。 しかし、ゆっくりは見たところ、どの生活圏にも結合していない。 森に繁殖すれば、たちまちそこの食物を食べつくしてしまう。 町に住めば、人間どもに追われ、迫害されている。 こいつらはなんのために生きているのだろう。 どんなゆっくりプレイスも、例外なく破綻する。 生まれては死に、繁殖しては滅び、流れるようにあちらこちらをさまよう。 こいつらが生物としてぴったりとはまり、安定していられるのはどういう環境なのだろうか。 「何か月かね?」 「は、はい……三ヶ月ちょっとらしいです」 長浜氏はソファに身を沈めたまま、険しい表情をしていた。 「ゆぅ~ん、おじいちゃんどうしたの?なんだかこわいよ?」 「なんでもないよ。あっちへ行っていなさい」 「ゆっくりりかいしたよ!」 絨毯の上を跳ねながら、開け放したドアを出ていくゆっくりれいむ。 長浜氏の邸宅。 広い居間でテーブルをはさんで向かい合い、俺は恐縮しきっていた。 俺の隣には由美。 向かい合ったソファの正面には由美の祖父長浜氏が座り、 その隣に由美の両親が座っていた。 俺の返答を聞いたあと、長浜氏は黙ってこちらを見つめていた。 俺はうつむいて冷や汗をたらしながら、つけ慣れないネクタイの位置を直した。 由美の妊娠を知らされたときには、すでに受胎してから二か月半ばを経過していた。 毎日俺の部屋に通っていたはずの由美が、ある時を境に数日間来なくなった。 心配になった俺は電話で連絡した。 すると、由美は震える声で、産婦人科に行ってきたことを告げてきた。 妊娠を知らされ、俺の喉がひりついた。 ゆっくりの世話に追われてこのところすっかりご無沙汰だったが、 ゆっくりをここに迎える直前、すでにご懐妊なさっていたらしい。 どうする。 俺はしばらく悩み、時間をかけて由美と相談し、結論を出した。 「こういう事柄に関しては、君には忍耐力がなかったようだね」 やっとのことで、長浜氏が仏頂面で言った。 俺は恐縮して頭を下げるしかない。 「大切な孫娘なんだよ。たったひとりの……つい先日、成人式を挙げたばかりだ」 「は。はい」 「君はまだ働いていない学生の身分だろう」 「……はい」 「とんだことをしてくれたよね」 「は」 「嫁入り前の、人の娘に……娘というのは君、宝だよ」 「……」 「おじいちゃん」 「黙っていなさい!」 由美が口を挟もうとしたが、長浜氏がぴしゃりと遮った。 これほど険を含んだ長浜氏は初めてだった。 あの礼儀正しい老紳士が、静かに怒っている。 耐えがたい、重苦しい沈黙。 「どうするのかね」 やがて、ぽつりと長浜氏が聞いてきた。 震える手で膝を握りながら、俺は声を絞り出した。 「……由美さんを、僕にください」 「……今、なんと言ったのかね?」 「僕に由美さんをください!必ず幸せに、幸せにしてみせます!!」 俺は叫びながら顔をあげた。 長浜氏は、顔中をくしゃくしゃにして笑っていた。 「いやいやいやいや、さあさあどうぞどうぞ」 「いや、あの、僕は車なんで」 「いやいやいいじゃないか。帰りは送らせるよ、まあどうぞ」 俺の手に持ったグラスに、高そうな酒がどぼどぼと注がれる。 「いやあうん、懐かしいな。私もそうだったんだよ。 圭一くん、私も君といっしょでね、深窓の令嬢を結婚前に孕ませてしまった。 相手方のオヤジさんにはぶん殴られたよ」 「そうでしたか」 長浜氏は浮かれまくっている。 由美の両親はそれほど浮かれる気にはなれないようだったが、ともかく笑顔を作っていた。 「もしも君が逃げ出すようだったら、ただではおかなかったよ、うん。 しかし、これで全て丸く収まりそうだ。君なら大丈夫だろう、うん、ね。 困ったことがあるならいつでも言ってきたまえよ、我々は家族になるんだからね」 「ありがとうございます!」 「本当に、頼んだからね。由美、いい人を見つけたね」 「うん!」 涙を浮かべ、由美が頷いた。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくり!!ゆっくり!!」 場の雰囲気を察知し、長浜氏の飼っているゆっくり共が嬉しげに絨毯の上で飛び跳ねている。 この時ばかりはゆっくりが可愛く見えた。 しかし多いな。大小さまざま、何十匹いるんだ。 「由美から聞いているよ」 「え?」 「例の、ゆっくりの事だよ。君の家で飼っている」 「あ、はい……」 声のトーンがわずかに沈んだ。思い出すことさえ不快だ。 「ものすごく大変らしいね。床のうんうんを舐めたんだって?」 「あ、いや、まあ……」 そんなことまで耳に届いていたとは。 あの姿だけは見られたくなかったなあ。 「君は今、ゆっくりが好きかね?」 「…………」 「嫌いだろうね。無理もないよ」 「はい……」 長浜氏の声は穏やかだった。 彼は由美に向きなおって言った。 「なあ、由美。もういいだろ。解放してあげなさい」 「……うん。圭一、今まで本当にごめんね」 「圭一君。そもそもは私までがぐるになって君に頼んだことだったが、 これまで本当に、よく由美に付き合ってくれたね。心から感謝しているんだよ。ありがとう」 ストレートに「試していた」と言ってくるわけじゃないが、 やはりあの計画で、俺が試されていたのは確かのようだ。 夫として由美と向き合っていく忍耐力を、俺は証明したのだ。 「ともかく、君たちは近いうちに夫婦になるのだろ?」 「はい、そのつもりです。準備は大変だと思いますけど……」 「もちろん手伝うよ。それでだ、そういう準備もあるし、 もうゆっくりに一日中かかずらっているわけにはいくまい」 「は……そうですね」 「あのゆっくりはこちらで引き取ろう。 もちろん最低限の躾は必要だろうが、責任をもってできるかぎりゆっくりさせるよ」 「あの、私が面倒見るから!」 「どうするつもりだい、由美。これまで通り自由奔放にゆっくりさせるのかい?」 「できれば、そうしたいんだけど」 長浜氏はしかしかぶりを振った。 「もうよしなさい。結果は出ているだろう」 「結果……」 「圭一君。君たちはゆっくり達の言うことをすべて聞いてきた。 すべてゆっくり達の思うままにさせた。そうだね?」 「はい」 「では改めて聞くが、あのゆっくり達は、 他のゆっくりに比べてゆっくりできていたと思うかね?」 俺は少し考え、答えた。 「いいえ」 「子供を殺したんだって?」 「えっ」 自分のことを言われてるのかと思い、一瞬どきりとした。 「れいむとありすがいがみ合い、互いに子供を殺し合ったそうじゃないか」 「あ、はい」 「そして結局、増えすぎた子供たちは間引かれていった」 「……はい」 「まりさ達は他のゆっくりを虐げた。 甘味を与えるたびに、その甘味を家族で奪い合った。 互いに憎み合い、相手の隙を窺い、強者の存在に怯え、強者は反発に苛立つ。 いつ子供たちが殺されるか虐められるかわからず、戦々恐々とする生活。 由美。そんなゆっくり達が、ゆっくりしていると思うのかい?」 由美は眼を伏せた。 「ゆっくりしていなかっただろう?」 「……うん」 「今回のことはいい経験だったな、由美。 ゆっくりという生物は、自分にとって一番いい選択をする判断力が足りていないんだ。 ただ目先の欲求だけで行動し、結局はそのつけが回ってきて面倒事を増やし、苦しむことになる。 ………もしかしたらそれは人間も同じことかもしれないね。程度は大きく違うが」 俺は頷いた。 まあ、ゆっくりと一緒にされたくはないが。 「お前の計画は、ここで終わりにしよう。 今回のことを糧に、改めてゆっくりが本当にゆっくりできる為にはどうすればいいか考え直してみればいい。 あのゆっくり達はこちらで引き取るよ。 もちろん一旦味をしめさせた責任はあるから、できるかぎりは贅沢をさせてやる。 他のゆっくりに悪影響が出るだろうから、個室で飼おう」 「うん。わかった」 由美は頷いた。 「でも、あたしも面倒見てもいいよね」 「うん。好きにしなさい」 好々爺の笑みで、長浜氏は頷いた。 すべて終わった。 運転手のハイヤーに乗せられて長浜氏の邸宅をあとにした今、俺はようやく肩の荷が下りた。 いや、これから結婚や求職もろもろで本当に忙しくなるのだが、 そんなものはあのゆっくり共の相手をすることに比べれば些細なことに思えた。 本当に大変だった。 しかしそれは報われた。 長浜氏は俺を認めてくれ、俺は由美と結婚できることになった。 こうして結果が出てみれば、自分でも驚いたことに、 あのゆっくり達に感謝の念さえ湧きあがってきた。 なにはともあれ、やつらは俺にチャンスをくれたのだ。 「今まで本当にごめんね。大変だったよね」 隣に座る由美が改めて詫びてきた。 「うん。大変だった。すごく」 強がってみせる余裕もなく、俺は正直に苦笑した。 「あんなゲスゆっくりが、本当に可愛いのか?」 俺はここで初めてゲスという言葉を使ったが、由美は否定しなかった。 「うん。おかしいよね」 「どこが可愛いの、あんなの」 「それは、ええと、ゆっくりと人間と同一視してるから可愛くないんだと思う」 「え?」 いつになく真面目な顔をして、由美は言った。 「礼儀とか思いやりとかは、人間のルールだよね。 そういうのがない人は、私も嫌い。 でも、ゆっくりは、人間とは違うルールで生きてる。 ふつうの人間にとっては不愉快かもしれないけど、私は人間とは別物だと思ってるから、腹が立たない。 私ってゆっくりオタクだから、人間の手垢がついてない純粋な子ほど可愛いと思っちゃうんだね」 「そんなもんか」 共感はできなかったが、素直に受け止めることができた。 「でも、今回の失敗でまたわからなくなっちゃった。 ゆっくりのルールって一体なんだろうね。 人間のルールを押しつけたほうが幸せになれるのかな? ゆっくりって、ゆっくりするために生きてるんじゃないの? どうしてなかなか、自分たちでゆっくりできないのかなあ……」 毎日ものすごい数が生まれ、そのほとんどが死んでいくゆっくり。 わざわざ人里に下りてきて、家や畑を荒らしては潰されるゆっくり。 ゲスやレイパーや共食い、同族で殺し合うゆっくり。 ゆっくりとは、一体なんのために生きているのだろうか。 「ゆっ、おそいよ!!ごみくず!!」 由美と一緒に家に戻れば、甲高い挨拶が飛んでくる。 「ぐずぐずしないであまあまをもってきてね!!」 「そのめはなんなの?ばかなの?たちばわかってるの?ばぁーか!!」 「まま、かちくがもどってきたわよ」 「あらそう、どこをほっつきあるいてたのかしら。 そろそろしつけなおしたほうがいいかもしれないわね」 「ゆっくりしないでしね!!げらげらげら!!」 「とっととうんうんをなめるんだぜ!!たっぷりためといてやったんだぜ!!」 子ゆっくり共は成体サイズになり、滑舌もまともになっていた。 改めて眺めると、よくもこんな連中と付き合ってきたものだと思う。 しかし終りが見えた今は、そんな声も耐えて受け流すことができた。 ゆっくり共の罵声を無視し、鞄を放り出して横になる。 無視できることがこんなに有難いとは。 「ゆっ!?ごみくず!!なにゆっくりしてるのぉ!?さっさとおきてせいざしてね!!」 「あまあま!!あまあま!!きいてるのかだぜ!?ゆっくりするんじゃないのぜぇ!!」 「くちをあけるんだぜ!!うんうんをじかにたべさせてやるんだぜ!!」 無視無視。 よじ登ろうとしてきたゆっくり共を適当にあしらって追いやる。 潰してやりたいところだが、こいつらは長浜氏の家に飼われるのだからそうもいかない。 「ぎいでるのがああああああああゆっぐりごろじいいいいいいいいい!!!?」 その言葉にはさすがにどきりとした。 一緒に来ている由美のほうを見る。 しかし由美はそれには触れず、かがみ込んでゆっくり達に言った。 「れいむちゃん、まりさちゃん、ありすちゃん。みんな聞いて。 明日、みんなでお引越ししましょうね」 「ゆっ!?」 「ここではもうゆっくりできないの。 もっとゆっくりできるゆっくりプレイスに連れていってあげる」 ゆっくり共は一瞬きょとんとしてから顔を見合わせ、その後げらげらと笑い合った。 「げらげらげらげら!!ばかがなにかいってるのぜぇ!?」 「ゆっくりプレイスはここなんだぜ!!まりささまがきめたんだぜ!!」 「いいのよ、おねえさん。かちくがむりにあたまをつかわなくてもいいの。 かんがえることはとかいはなありすたちにまかせておきなさいね」 「むのう!!のろま!!ばぁーか!!ろどん!!」 予想できていた反応に、由美は困ったように笑った。 「ね、これからは人間さんの話を聞いて。 今度のゆっくりプレイスでは、人間さんがみんなをゆっくりさせてくれるわ。 でも、人間さんの言うことを聞かなくちゃだめよ」 ぼひゅっ、という音が響く。 ゆっくり共が吹き出したらしい。冗談じゃないという驚き、ちゃんちゃらおかしいという嘲笑の両方だろう。 「ばかなの?しぬの?あたまつかってる? そんなところでゆっくりできるわけないでしょぉぉ!!」 「いーい?にんげんさんはごみくずでのろまな、かとうなせいぶつなの。 ゆっくりがみちびいてあげなきゃいけないの。いうことをきくのはにんげんさんのほう。 わかるかしら?もういちどいってあげましょうか?」 「かわいがってやっていればつけあがるなだぜ!! にんげんのいうことをきくぐらいならゆっくりするんだぜぇ!!」 最後の発言は意味がおかしい。 「勝手よね、私たち。今更しつけようなんて」 「そうだな」 由美に頷いてやる。 虐められているうちは、叩き潰してやりたいと渇望していたものだが、 このゆっくり共もある意味では被害者、もとい被害ゆっくりなのだ。 そう思うとなんだかどうでもよくなった。 ただし、あくまで「ある意味で」という前置きつきでの穿った見方だ。 ガラスを割って侵入してきたこのゲス、追い払ったところで別の人間に潰されるか、 群れの中で孤立して自滅するかだろう。 まあifの仮定なんかしたって無意味だが、こいつらが不幸だなどとは言わせない。 最低限のルールは課されることになるが、これから行くところだって、 死ぬまで存分にゆっくりできる夢のようなゆっくりプレイスだ。 とにかく、明日の昼には迎えが来て、 こいつらは長浜氏の邸宅に移されることになる。 その旨を伝えると、ゆっくり共は俄然騒ぎ出した。 「なにいってるのぉおお!?ばかなのぉぉぉぉ!!!」 「まりささまはここにすむんだぜぇぇぇ!!しねぇ!!!しぬんだぜぇぇぇ!!!」 「このかちくはもうだめね! そこのおすにほかのつがいをさがさせましょう」 「おい、なにゆっくりしてるんだぜぇ!! このばかをなんとかするんだぜ!!あのことをいわれてもいいんだぜぇ!!?」 「あのことって?」 由美が聞いてきた。 「全部話すよ。それより、もう出よう。 もう一晩だってこいつらといたくないよ」 俺は由美を近くのファミレスへと誘った。 「おいぃ!!にげるなだぜぇ!!ごみくず!!もどれぇぇ!!」 「ゆっくりごろし!!ゆっくりごろし!!あかちゃんごろしいいいい!!」 結局、俺は子殺しに加担した全てを、ショックを与えないように細部は省いて話した。 俺がゆっくり愛好派ではないことはもともと承知の上だし、 計画が失敗に終わったという結論が出た今、取り繕うこともなかった。 由美は悲しんだが、結局は許してくれたようだ。 「全部、私のせいよね」 「よせよ。みんな悪かったんだ、俺もお前もおじいさんも、もちろんゆっくりも。 後悔したって始まらない。みんなでやり直そうぜ」 「そうね」 あのゲスどもに関しては、俺はもう関わらないけど。 その日は、由美を送り返したあと近くのビジネスホテルに泊まった。 問題は山積みだが、それでもあのゲスのいない生活を考えるだけで心は浮き立った。 翌日から、俺はそれまでの鬱憤を晴らすかのように勉学に打ち込んだ。 もともと勉強好きな俺は、遅れを取り戻すべく、大学でも自宅でも猛烈に並び、 一時落ちていた成績を再び大学トップクラスにまで戻した。 同時に、就職活動も行った。 有名大学で優秀な成績を収める俺にとって、そう難しいことではなかった。 だが、結局は長浜氏の強い勧めで、長浜グループ関連の建築会社に内定が決まった。 コネを使うことになってしまったが、実力的にも不足はない。 在学中に結婚までしてしまった。 長浜氏の願いで、俺が婿養子として迎えられることになった。 由美は一人っ子だし、家柄を考えれば無理もないか。 順風満帆だった。 我ながらなんというシンデレラボーイ。 あの地獄に堪えた報酬は、十分見合ったものだった。 だが、そんな地位や収入などよりも、 俺は何より、由美との結婚生活が楽しみだった。 愛する妻、子供、ピクニックやキャッチボール。 陳腐だが愛にあふれた家庭生活を想像するだけで、俺はすでに幸福の絶頂にいた。 俺は長浜氏の邸宅に一時的に住んでいた。 就職するまでは、という長浜氏の強い勧めだった。 あの人はなんだかんだで、いろいろと強引に勧めてくる。 一人ではしゃいでいる祖父に比べ、 由美の両親のほうは少々ぎこちなかったが、おいおい打ち解けていけるだろう。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!!」 「ごはんのじかんになったらあまあまをおねがいね!!」 長浜氏の邸宅には、ゆっくりが大量にいた。 れいむ種、まりさ種、ありす種、ぱちゅりー種、ちぇん種やみょん種などレアなものも。 正直うざったかったが、あのゲスどもに比べれば天地の差。 これだけしつけが行き届いていれば問題なく付き合っていけそうだ。 問題のゲス共は、ひどいものだった。 ここに連れてこられてすぐに個室に移されたが、 しつけをしようとしても全く言うことを聞かない。 人間は自分たちの奴隷だ、黙って言うことを聞け、あまあまをもってこいの一点張りで、 そればかりか嬉々として嫌がらせをしてくる。 少々強く言うと、ものすごい剣幕で火がついたように暴れまわった。 長浜氏の知人である有名ゆっくりブリーダーに見てもらったが、これはダメだろうとのことだった。 「ここまでつけ上がったゆっくりは、多分もう無理だと思います。 人間をなめているばかりか、明確な悪意を向けてきている。 しつけるにしても、ものすごく強烈なやり方でないと。 もしかしたら死んでしまうかもしれませんよ」 さすがにそこまですることもない、という長浜氏や由美の意見で、 結局このゆっくり共は、郊外に外出する時以外は個室から出さずに寿命まで勝手にやらせることにした。 といっても、こいつらは外出することはあまりないが。 「しかし、よくもまあここまでつけ上がらせましたね。びっくりしました。 ここまでの個体は初めて見たかもしれません。 逆にゆっくりブリーダー向きかもしれませんよ、あなた」 俺はそう言われたが、勘弁してくださいと首を振った。 そんなゲスどもを、由美は相変わらず面倒を見ている。 長浜邸では、家族だけでなく使用人も大勢のゆっくり共の面倒を見ているが、 あのゲスは使用人でさえ関わりたがらず、結果としてほとんど由美が面倒を見ることになった。 結局相変わらず甘やかしているようだ。 「おねえさんはゆっくりしないでおうたをうたってね!!」 「きたないうたなんだぜ!!ゆっくりできないからとっととやめるんだぜぇ!!」 「げらげらげらげら!!」 しかし、ついに別れのときがやってきた。 俺が就職し、なかなか広いアパートに住むことも決まった。 子供が生まれたら、最初は自分たちの家に迎えたい。 そういう俺の希望で、出産の前に引越しの手続きを済ませることになった。 一応、出産前後は由美の母がアパートに通っていろいろ手伝ってくれる。 由美のお腹の子は五か月になっていた。 お腹の膨らみもはっきりとわかる。 俺の宝だ。 引っ越し前日の夜になって、 由美はあのゲス共に別れの挨拶をしてくると言った。 俺は挨拶などする気も起らず、寝室で由美を見送った。 俺はずっと疑問だった。 身体能力や耐久性はあまりに弱いゆっくり。 しかし、その自意識は身の丈をはるかに超え、 危険な場所やより強大な敵に、自分から飛びこんでいく。 その構造は一体なんなのだろう。 生物として、全く理にかなっていない。 何度考えても、生物学的にまったく説明がつかなかった。 ゆっくりとは一体なんなのか? 由美はいつまでも帰ってこなかった。 十二時時を過ぎて深夜になっても、由美は二人の寝室に戻ってこなかった。 由美がゲス共に会いに行ってからすでに三時間。 いくらなんでも別れを惜しみすぎではないのか。 俺は立ち上がり、ゲス共の部屋に向かった。 「由美。俺だ。いるのか?」 ドアをノックしたが、返答はなかった。 しかし気配はあった。 中でわめき声が聞こえている。ゆっくり共が騒いでいるのだ。 いつもの事だった。 しかし、その声に俺はどこかいつもと違う空気を感じた。 なんだ? 俺はドアを開けた。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 「んほぉおおおおおおおおすっきりいいーーーーーーーーーっ!!!」 「ゆっくりするなだぜぇ!!さっさとおきるんだぜぇ!!!」 由美と娘はそこにいた。 「ゆっ!!ごみくずがやってきたんだぜ!!」 「ゆゆっ!?いまごろきてもおそいよ!!げらげらげらげら!!」 「んっほぉぉぉぉおおお!!!きもちいいわああああああ!!!」 俺は膝をついた。 言葉が出なかった。 脳が思考を放棄し、体が震えて動かなかった。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 執拗に飛び跳ね、踏みつけていたれいむは、 俺を認めると、そこに乗ったままで罵ってきた。 「くそじじいのあかちゃんはしんだよ!! れいむだっておちびちゃんをころされたんだからね!! ゆっくりりかいしてくるしんでね!!ざまぁ!!」 まりさ共が、由美の体に体当たりを繰り返している。 「まりささまのゆっくりベッドでゆっくりするんじゃないんだぜぇ!! くそどれいにそのふかふかはもったいないのぜ!!おきるんだぜえぇ!!」 由美は動かなかった。 頭をまりさ用の天蓋つきベッドに突っ込んだまま、ぴくりともしなかった。 天蓋は一部の骨組が折れ、由美の頭の下に敷かれている。 「あかちゃんのおはだすべすべよぉぉぉぉぉ!! なんかいでもいけるわあああああんほおおおぉぉぉすっきりいいいいいーーーーっ!!!」 ありす共が粘液にまみれながら絶叫している。 親子五匹のありす共が、それにまとわりついて蠢いていた。 地獄。 無間地獄。 こいつらは。 俺は泣きながら這いずっていった。 震える喉からやっとのことで絞り出したのは、次の問いかけだった。 「どうして」 それは、このゲス共に向けた質問ではなかった。 俺は何に向かって問いかけたのだろうか。 「ゆっ!!ごみくずはばかすぎてあきれるんだぜぇ!! ごみくずのたくらみなんてまりささまはすべておみとおしなんだぜ!? おきのどくなんだぜぇ!!げらげらげらげら!!ふっきんほうかい!!」 まりさが笑っている。 「ゆふぅ~……とかいはなせれぶのありすには、 いなかもののかんがえることなんておみとおしよ」 「ままはおみとおしよ!あてがはずれたわね!!んほっ、んほほぉぉ!!」 「どうしてわかったかおしえてあげましょうか? ありすがまえにすんであげていたゆっくりぷれいすのにんげんは、 はじめはありすにぞっこんで、かいがいしくありすにほうししていたわ。 ありすがいえば、すっきりようのゆっくりをつぎつぎともってきた。 にんげんがあれこれやってくれというから、 やさしいありすはおのぞみのぷれいをみせてあげもしたわ」 このありすの飼い主が、あの技術を教えたのか。 「でも、そのにんげんは、あれほどかわいがってもらったおんもわすれて、 このありすをうらぎった。 にんっしんっしたのよ。 にんっしんっしてこどもがうまれたたとたんに、 そのにんげんはありすをゆっくりぷれいすからほうりだした。 じぶんのこどもにかまけて、 ほんらいのしごと、ありすのどれいのせきむからにげだしたのよ!」 「んほっ、まったくにんげんはいなかもののかとうどうぶつよね! ちゃんとみてないとすぐににげだすんだから!!」 「このおねえさんがにんっしんっしたときから、 ありすにはこうなることはわかっていたわ。 あなたたちにんげんは、こどもができると、まわりがみえなくなる……」 「だからまりささまがまびいてやったんだぜ!!」 まりさが引き継いだ。 「こどもをみてしこうていしするまえに、 まりささまがまよいのたねをつみとってやったんだぜ! ごみくずどもはいままでどおり、つよくてかっこいいまりささまにしんすいして、 まりささまだけにつかえていればいいんだぜ!!」 「あらりょうじだったけど、れいせいになってよくかんがえなさい。 おちついてかんがえればこれがただしいとわかるはずよ。 いなかもののかとうせいぶつでもね!!」 「れいむはおまえにこどもをころされたんだよ!! こどもをころされるくるしみがわかった!?もっとくるしんでね!!げらげら!!」 ゆっくり共は、悪意の塊のような表情を浮かべてせせら笑っていた。 それはひどく醜く、どれほど憎んでも足りなかった。 「こどもはありすにおかされてしんだよ!! くやしい?くやしい?ねぇねぇ、いまどんなきぶん?どんなきぶん?ゆっゆっゆ~♪」 震えて泣きながら、俺はゆっくりと疑問が氷解していくのを感じていた。 「ざまぁ!!ざっまぁぁぁぁ!!くやちぃくやちぃ~~~~~♪」 ああ。 「げらげらげら!!そしてこのかお!!ないてるときがいちばんばかみたいなんだぜぇ!!」 そうか。 「ごみくずはむせびなき~♪れいむたちはいいきぶん~♪ゆっゆ~~ゆゆゆ~♪」 お前たちは。 「このおねえさんひっどいかおよねぇ、みっともないったらありゃしない! とかいはにこーでぃねーとしてあげるわ!んほおおぉぉすっきりいいーーーーーー!!!」 苦しむために生まれてきたんだな。 由美は死んではいなかった。 しかし、病院で医師に宣せられたことは死と同義だった。 頚椎骨折。 あの部屋で倒れたとき、首の部分がちょうどまりさの天蓋つきベッドを下敷きにして、 その骨組をなしていた木材にぶつかり、頚椎を折っていた。 脊髄を損傷して由美は全身不随となり、意識も失ったまま戻らなかった。 病院のベッドで点滴を受け、なにも映さない目で天井を見つめるだけの生活になった。 子供は女の子だった。 発見したときにはすでに手遅れになっており、 その亡骸は、長浜家の墓に埋葬された。 俺が決めてあった名前が、その墓には彫られた。 長浜氏と俺の意向を受け、 その事件は日本中に大々的に報道された。 その主犯であるあのゲス共は事情聴取を受け、 警察やテレビの取材班に喜々として自分の所業を語り、 その様子は日本中に放映された。 「まずまりささまがあしにまりさしゃいにんぐあたっくをくらわしたんだぜ!!」 「そしたらおねえさんがぶざまにたおれたんだぜ!!おとうさんはつよいんだぜ!!」 「たおれたところにれいむがおなかのうえでぴょんぴょんしたんだよ!! ごみくずのあかちゃんはすぐにでてきたよ!!にんげんさんはもろいね!ぷげら!!」 「あかちゃんのおはだはとってもすべすべもちもちしていてとかいはだったわ。 またもってくるならすっきりしてあげてもいいのよ?」 「おなかすいたあああ!!れいむおうちかえるうううう!!」 それは飼いゆっくりによって人間が殺された日本史上初の事件だった。 日本中がその事実に震撼し、愛護派の多くが認識を改め、虐待派がさらなる気炎をあげた。 その日から、日本中で捨てゆっくりの数が増大し、 同時にむごたらしく殺されたゆっくりの死骸が町に散乱し、市民はその処理に追われた。 だが、殺されるゆっくりに同情する者はいなかった。 日本の法律では、ゆっくりを罰する法は制定されていない。 人を殺し、全身不随に追いやったそのゆっくり共を憎み、処刑を望む声は高かったが、 俺はそのゲス共を手元にとどめた。 長浜氏は憔悴しきってうなだれていた。 俺はあの居間でテーブルをはさんで向かい合い、黙っていた。 居間にゆっくりの姿はない。 長浜氏の邸宅から、ゆっくりの姿は一掃されていた。 すべて加工所に送られていた。 もはやゆっくりの姿を見るのも嫌なのだろう。 先日は、道端で出会った野良ゆっくりにあまあまを要求され、 長浜氏らしからぬ激昂を見せて踵で一息に踏みつぶしていた。 いまではゆっくり愛護会の会長も退いている。 重苦しい沈黙が流れたが、 やがて長浜氏が言った。 「すべて私のせいだ」 孫と同じ事を言う老人が悲しかった。 「ただ一度だけ、一度だけ叱りつけてやればよかった。 強くたしなめれば、あの素直な孫は言うことを聞いてくれ、あんなことはやめたろう。 私がそれをせず甘やかしたために、たった一人の孫娘とひ孫を、君の妻と娘を死なせてしまった」 「お祖父さん」 「私を恨んでくれ」 震える老人はひどく小さく見えた。 「それは僕の言う事です……あなたの孫娘を守れなかったこと、深くお詫びします。 このことは、一生をかけて償うつもりです」 「圭一君」 俺は長浜氏に向かって、毅然として言い放った。 「僕は誰も恨んでいません。 僕の恨みは、あのゲスゆっくり共に全て向けられています」 「君の注文どおり、やつらは元の個室でのうのうと贅沢三昧の日々を送っておるよ」 「そのようですね。ありがとうございます」 「どうするつもりかね?」 「どう、とは」 「やつらをどうするのかね」 「質問で返すことをお許しください。 お祖父さんはどのようにしたいとお思いですか?」 「殺してやりたい!」 テーブルに拳を叩きつけて長浜氏は叫んだ。 「この手で引き裂いてやりたい、踏みつぶしてやりたい!! やつらは、やつらは……私は今まで………今ごろになって………」 すべては遅すぎた。 長浜氏は自分を責めていた。 あの日から眠れた日がどれだけあったろうか。 「僕に任せてくださいませんか」 「……どうするのかね」 「一息に殺したところで、この恨みは晴れるものではないでしょう」 俺はノートを取り出し、長浜氏の前に置いて言った。 「僕は人をやめます。どうぞ軽蔑してください」 俺の顔を見てから、長浜氏はゆっくりとページをめくった。 彼は眼を見開いた。 ノート一冊分にびっしりと書き込まれたそれは、俺の計画書だった。 「これは……」 「あの日から書き続けていました。まだ未完成ですが」 眉をひそめてそのノートを食い入るように見つめていた長浜氏は、 自分の頬を掴みながら呻いて言った。 「……わたしはかまわない。 しかし君は……それでいいのか」 「はい」 「君にはまだまだ先の人生が残っている。 こんなことに……こんなことで……人間を捨てることはない」 「僕はこれから先の人生を、あのゆっくり共に捧げるつもりです」 「私がやる。これは私がやろう。しかし君は」 「これから先、同じ犠牲者を生まないためです。 そしてこれは、ゆっくり達のためでもあります」 「こんなことが?」 俺は頷いた。 狂人と思われようとかまわなかった。 「ゆっくりは苦しむために生まれてきたんですから」 「……それは」 「あの生物がどういう生き物なのか、ようやくわかったんです。 あいつらは弱い。痛みに弱く、耐久性もなく、ひどく簡単に苦しみ、壊れる。 そのくせ悪意や闘争心が強く、強い外敵に向かって無謀な喧嘩を売り、執拗に挑発する。 どこにも根付くことができないくせに、どこにでも入り込む。 そんなゆっくり共が生物として安定している状態は何か、ずっと考えていました。 そしてそれは、苦しんでいる状態でした」 「それは、君……いくらなんでも」 「そう考えれば、すべてにつじつまがあいました。 やつらの行動はすべて、苦しむというただそのことに向けられている。 生まれては死に続け、憎まれ虐げられつづけるゆっくり共は、 そのことですでに生物としての目的を達しているんですよ」 「………」 「僕は残りの一生を、やつらのために捧げます。 今こそ僕は、苦しむために生まれてきたやつらの奴隷になりましょう。 人間のために、ゆっくりのために、お互いの種の安定を目指そうと思います」 「圭一君」 力なくうなだれ、長浜氏は言った。 「君は変わったな」 「変わりました」 俺は答えた。 計画は実行されることになった。 計画には長浜氏が全面的に尽力してくれることになり、 さらに二か月間が準備期間にあてられた。 都心からそう遠くない、しかし奥まった山奥の廃墟が選ばれ、 目的のために改築された。 その間、ゲスどもはあの個室で贅を尽くしていた。 長浜氏や俺の指示に従い、使用人たちは毎日やつらの面倒を見ていた。 実行の日。 今、俺は改築された建物の中で、 大きなテーブルの前に立っている。 テーブルの上には、睡眠薬を食事にまぜられた十三匹のゆっくりが眠っている。 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 あの日、俺の部屋に侵入してきたまりさとれいむ。 まりさが外から連れ込んできたありす。 それぞれが50cmのバランスボール大だった。 そしてその子供、子れいむが三匹、子まりさが三匹、子ありすが四匹。 十匹とも30cm大のバスケットボール大。 テーブルを囲むのは、計画の実行に関わる人々。 長浜邸の使用人やゆっくりの研究者たち。 計画のリーダーは俺だ。 俺の計画を、これからこの手で実地に行うことになる。 こいつらのために、持てるすべてを捧げよう。 涎を垂らしながら泥のように眠りこむゆっくり共に向かって、 俺は静かに声をかけてやった。 「ゆっくりしていってね」 続く